欧州首脳、露「影の船団」取り締まり強化で合意-政治共同体会議
(ブルームバーグ): 英国のスターマー首相は、国際的な制裁を回避するために使用されるロシアのいわゆる「シャドーフリート(影の船団)」への取り締まり強化を発表し、英国で開いた欧州政治共同体(EPC)の首脳会議で、44の欧州諸国が計画を支持したと述べた。
18日夜遅くに英政府が発表した声明によると、この共同の「行動呼びかけ」は、ロシア政府が1日あたり約170万バレルの石油輸送に使用していると欧米諸国が主張する約600隻の船団を止める狙いがある。ブルームバーグが15日、取り組みについて最初に報じた。
英政府は、ロシア産石油の運搬に使われていたとされるタンカー11隻への制裁も発表した。
スターマー氏は首脳会議後の声明で「欧州の仲間と共に、プーチン大統領の制裁回避の試みを可能にしている者へ、明確なメッセージを送る:ロシアのシャドーフリートが欧州の海上を自由に航行し、われわれの安全保障を危険にさらすことや、それによって生み出される汚い資金を許容しない」と述べた。この日の会議は、英国が46の欧州各国首脳を招き、オックスフォード近くのブレナム宮殿で開催した。
英国は声明で、シャドーフリートのオイルタンカーの船団がロシアのウクライナ侵攻の資金源となっている上、欧州の海上環境の脅威にもなっているとした。一部の船は、ロシアの盗聴ステーションとして機能し、ロシアへの武器輸送にも使われているという。
新たな制裁リストによると、制裁対象の11のタンカーのうち8隻は、ロシア海運大手の国営ソブコムフロートが所有している。他の3隻は、シャドーフリートの船の特徴を備えている。
今回の追加制裁によって、60隻のオイルタンカーが米国、英国、欧州連合(EU)当局の制裁下に入った。英国が指定した11隻のうちすでに2隻はEUの制裁対象になっている。対象となった船の大半は、貨物の積み込みを停止している。
英国政府の声明によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、スターマー政権の閣議に出席予定だ。海外要人が英国の閣議に直接参加するのは、1997年のクリントン米大統領(当時)以来だという。