なぜテールランプがまぶしいクルマが増えているのか
夜間のドライビングで神経を使うことが増えてきたように感じるのは、筆者だけではないはずだ。コロナ禍によって一時は減っていた道路の交通量も、今はすっかり元通りのようだ。 【画像】これは「まぶしい」ではなく「危ない!」 改造されたトラックのステンレスボディ(全5枚) 行楽の時期の週末には高速道路でひどい渋滞が起こっているし、市街地の道路もクルマがあふれかえっている。そのため、夜間は光害とも呼べるほど多くのクルマから光が放たれているのだ。 ヘッドライトがまぶしいクルマは、ハイビームの切り替え忘れや爆光HIDの拡散光、フォグランプの無駄な使用、光軸が狂っていてロービームが対向車の方を向いていることなどが原因だ。 しかしリアのテールランプがまぶしい原因は、それらとは全く異なる。前走車のテールランプがまぶしくて目に付く、イライラするといった経験をしたドライバーは増えているようだ。
テールランプがまぶしいのは、誰かが無神経だから
テールランプの構成要素は、ブレーキランプ、バックランプ、ウインカーのほか、スモールランプ、それにリアフォグランプといったところ。 スモールランプがまぶしいクルマはないだろう(夜間常時点灯しているライトがまぶしいほど明るければ、他のランプの被視認性に問題が生じる)し、走行中にバックランプが点灯することはないので、この2つがまぶしいということはない。 となると、残るブレーキランプとウインカー、そしてリアフォグランプがまぶしさの原因となる。 リアフォグランプはその名の通り、リアのフォグランプで、濃霧や豪雨時に自車の存在を後続車にアピールすることで衝突事故を防ぐ。しかし、通常の夜間走行時にリアフォグランプを点灯させているクルマもある。 これらは知らずにスイッチを押し、点灯していることに気付いていないドライバーもいるようだが、なかには目立ちたいだけという理由で点灯させているドライバーもいる。濃霧時以外に使用するのはマナー違反であるだけでなく、道路交通法の施行細則に抵触する可能性があることを知っておいた方がいい。 例えば大阪府の道路交通法施行細則の場合、第14条に道路における禁止行為として「車両等の運転者の眼を幻惑するような光をみだりに道路に投射すること」とある。 これは建物などから道路に投射することを想定したものだろうが、施行年月日が昭和35年(1960年)と古いから、クルマから外部に強い光を投射することは想定されていなかっただけだ。この第14条は車外からの行為に対する規定だけでなく、車内行為の規定も含まれているから、クルマの灯火類もこの規定に抵触する可能性は高い。 道路交通法施行細則は都道府県ごとに定められるものだが、多くの地域で同じ細則が施行されている。他のドライバーを強い光で幻惑した場合、罰則は罰金5万円だが、これによって交通事故が発生した場合は当然、事故の責任が問われることになる。 最近はドライブレコーダーや防犯カメラで走行車両の映像が撮られている。思わぬところで自分が危険な行為をしていた証拠が残されてしまう時代なのだから、自己防衛の観点からも正しい使い方をする方がいいだろう。