米インフレ率の2%回帰にあと3年必要も-地区連銀エコノミスト
(ブルームバーグ): 米国のインフレ率は2027年半ばまで2%の金融当局目標に戻らない可能性がある。クリーブランド連銀のエコノミストは30日公表のリポートでこのような内容の研究結果を明らかにした。
同連銀エコノミストのランダル・バーブルージュ氏はその理由について、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期のショックに伴うインフレ押し上げ効果はおおむね解消され、引き続きインフレを高止まりさせている諸力は「非常に根強い」ためだと説明した。
「インフレの最後の0.5マイル」と題したリポートでバーブルージュ氏が用いたモデルは、外因性の力学と内因性の力学を区別し、外部からからのショックがなくなった場合のインフレ動向を分析した。
サプライチェーンの正常化はインフレ抑制の進展に寄与し、一部の物品価格の低下につながったものの、こうした進展は今や一巡したように見受けられる。
サプライチェーンに関連した指標であるニューヨーク連銀のグローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPI)と、生産者物価指数(PPI)コア中間財価格の二つは横ばいに推移しており、このようなソースからの下降圧力は「ほぼ終わった」可能性があるとバーブルージュ氏は指摘した。
これは、2%の物価目標に戻るまで残りの部分を進むには、賃金の伸びや企業の価格設定などの内因性の諸力に頼ることを意味し、インフレ率に影響を与えるのに一段と時間がかかることになるとしている。
インフレ巡る米FRBの政策議論、物品価格の先行きが焦点の一つに
米金融当局は2023年7月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%と二十数年ぶりの高水準に引き上げ、その後、この水準に据え置いている。なお、4月の米消費者物価指数(CPI)のうち、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は半年ぶりに前月比で鈍化した。
それでも当局者の多くは最近、利下げを開始するための確信を持つのに先立ち、インフレ率が着実に鈍化の道筋にあることを示すさらなる証拠を目にする必要があるとの考えを表明している。