『街並み照らすヤツら』監督&脚本家が語る急ピッチ制作の裏側 森本慎太郎が現場を照らす「太陽」に
■スタジオセットの完成度が大きな刺激に 前田氏と高田氏が、映画『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』『セーラー服と機関銃―卒業―』などでタッグを組み、互いの自主製作映画を手伝い合う間柄だったことも、急ピッチの作業でプラスに働いた。 高田氏は「脚本って、監督の好みが見えてないと、あんまり思い切ったことがやりづらいんです。短期間でなるべく早くOKをもらわないといけない状況だと、わりと安牌を狙ってしまうようなことがあるかもしれないんですけど、前田監督だったら“おかしな人間を出せば出すほど喜んでくれるだろう”っていう感じがありますし、ロープの結び方を思い出そうとしたら影絵が出てきちゃう(=第1話)みたいなことをやっても、笑ってくれるだろうなと思ったので(笑)、わりと思い切って書けるのがすごく楽でしたね」と実感を語る。 前田氏は「ドラマで言えばクドカン(宮藤官九郎)さんとか、福田雄一さんとか、いろんなタイプのコメディがある中で、どうせオリジナルでやるなら彼らとはまた違うタイプのものをやりたいなと思うじゃないですか。その時に、(気心の知れた仲の)高田さんとやりたいなと思ったんです」とオファーしたのだそう。高田氏と、もう1人の脚本担当である清水匡氏は、別の仕事がたまたまずれ込んだことで奇跡的にスケジュールが確保でき、今回の作品を受けることができた。 撮影まで時間のない中で作られた商店街のスタジオセットを見て、驚きを隠せなかったという2人。前田氏は「主人公のケーキ屋さんの前のアーケードの延長線上の道を作ってほしいと言ったら、すごく良いセットを作ってくださって、それでまたテンションが上りましたし“これは本当に良い作品にしなきゃダメだな”とモチベーションが上がりました」といい、高田氏は「セットを見た時は、“これ、もうできてるんですか!?”ってびっくりしました。ビリヤード場の飾り込みもカッコいいし、それで我々脚本チームも盛り上がりました」と、大いに刺激になったようだ。