人気VTuberさくらみこ、活動7年目にして念願の“初単独ライブ”開催 ドレスを纏い喜び分かち合う【レポート】
秘めた心をこめた歌…星街すいせいも応援かけつけ
「みこが日頃配信では出さないけど思ってる、秘めた心をこめた歌です。普段は笑顔を届けるぞって頑張っていて、暗い愚痴とかもあんまり言わないようにしていますが、みこもみんなと一緒で人間なんです。バーチャルだけど心もある。だから傷つくような言葉とかも、こういう立場だから少なくない。でもみこは『配信で出さない』とモットーとして思っているから、曲として伝えることにしました。みこのことを大好きなみんなもそうだし、そうではない人にも向けた曲です」 ……と、丁寧な曲紹介をしたうえで始まったのは「ライクとヘイト」。前述のような複雑な思いを込めた歌詞だが、そこに遊び心のあるリズム運びとコミカルなサウンドをまぜた曲調、そしてハート型の風船で浮かぶブランコというかわいらしいステージ演出を合わせたのは、「それでも、悲しい気持ちにさせたくはない」というさくらみこの心遣いのようにも感じた。 ブランコを見送ると、「あーゆーれでぃ」へ。ボカロP・かいりきベアの持ち味を存分に生かしたアップテンポな中毒ソングだが、さくらみこの手の動きに合わせて光のエフェクトが放たれる演出で視覚的にも楽しい。 彗星のごとく青い光が舞い降りたかと思えば星街すいせいが登場し、miCometの共演に会場は大熱狂。TAKU INOUE・DECO*27が手掛けたコラボソング「シュガーラッシュ」を展開し、ビジネスフレンドと言い合う二人も、今夜ばかりは唯一無二のユニゾンを届けた。 さくらみこが「ビジネスパートナーのすいちゃんです」と紹介すると、星街すいせいもお決まりの口上で元気に挨拶する。さらにみこが「すいちゃんは~?」と振ると、一部の35Pが「今日も小さーい!」と返すなど、恒例のいじりで歓迎。時折敬語も混ざる絶妙な距離感のトークでは、さくらみこが自身の1stソロライブに合わせて、星街すいせいにも1stソロライブの衣装をリクエストしたエピソードが明かされた。 星街すいせいの衣装の腰布に合わせるように、さくらみこの衣装にも桜柄のカーテンのようなリボンヴェールが伸び、始まったのは「Stellar Stellar」。星街すいせいの代表曲で、『hololive shuffle medley』で見せたデュエットパフォーマンスが、目の前で再現された形だ。ステージ後方では桜型のスクリーンに流星が降り注ぎ、2人の歌姫の歌声と世界観が美しく融合していた。 感動覚めやらぬまま、星街すいせいが退場。ステージの暗転に衣装の装飾が光れば、ハンドマイクを持ったさくらみこは「Re:flection」をパフォーマンスする。さくらみこのオリジナル曲は、ほとんどが35Pに向けた、35Pのために歌われる曲だ。何度伝えても伝えきれないとばかりに、セットリストが進むにつれて歌唱の熱量も増している。 まばゆい光とともに衣装がホワイトベースに切り替わると、かねてより憧れていたいきものがかり/HIROBAの水野良樹に提供を受けた「SUNAO」へ。ポンコツエピソードに事欠かないさくらみこだが、そうしたお笑い的面白さだけでなく、ひたむきに35Pを思い続ける素直さも彼女の魅力だ。楽曲に合わせて様々な表情をみせるみこの歌声に、観客は心を奪われ続けていた。 本編最後のMCでは、さくらみこが35Pに向けて書いた、桜色の手紙を読み上げた。涙まじりに読まれたその内容は抜粋するのがもったいないほど、これまでの試行錯誤と葛藤、35Pやスタッフへの感謝、そして温かな愛にあふれていた。 涙をぬぐうと、笑わせようとした35Pに「ポンコツ!?ふざけんなー!」と怒ってみせるなど、いつも通りの調子も戻ってきた様子。流れ始めた「flower rhapsody」のイントロが、本編のラストを彩る。 「さくらみこ」とは、自分らしさを見つけて、受け入れて、前に進んでいく物語なのだと思う。咲き誇る彼女の隣には、きっとあの頃のさくらみこも立っていたことだろう。少しだけ震える声で「でもわたし、わたしでよかったよ」と歌う彼女はあまりに頼もしく、ピンク一色のペンライトは花筏のように揺れ、最大の感動に包まれたまま本編は幕を下ろした。 アンコールに応えるようにスクリーンに流れたのは、今日の会場物販から公演中にかけての映像だ。ついさっきまで見ていた光景がもう映像化されていることに驚いたのもつかの間、ステージ奥からさくらみこが登場すると、最初のオリジナル曲「マイネームイズエリート☆」が始まる。自身初のオリジナル曲で、アンコールとは思えないほど元気いっぱいのさくらみこは、ハイテンポで忙しない振り付けも難なくパフォーマンス。後半には「ここからはスーパーアンコールタイム!」とコーレスを要求した。