野村出資の英企業による大量引き抜き、ベアリングスが元社員を提訴
(ブルームバーグ): 米資産運用会社ベアリングスは元社員2人および、野村ホールディングス(HD)が出資するプライベートクレジット・プラットフォームの英運営会社コリンシア・グローバル・マネジメントに対し、法的手続きを開始した。
コリンシアはベアリングスで法人向け直接融資を担当していた20人余りを引き抜いた。この引き抜きはオルタナティブ資産運用業界ではここ数年で最大規模だったため、業界に衝撃を与えた。
プライベートクレジット業界は世界全体で1兆7000億ドル(約250兆円)規模に急成長した。変動が比較的少なく高いリターンが見込めるため、参入を模索する企業が増えているが、この分野の人材は限られている。
ベアリングスの広報担当者は「コリンシアが当社の顧客と従業員を狙い続け、当社の企業秘密や部外秘の情報を不正に利用し続けることを止めるため一時的な制限措置と仮処分を求めて法的手続きを開始した」と発表文で説明した。
コリンシアはベアリングスから約20人引き抜いた後の今月14日、正式に操業を開始した。
ベアリングスが法的手続きを取るのは、同社のグローバル・プライベートファイナンス部門の共同責任者で3月8日に退社したイアン・ファウラー氏と、2023年1月までオペレーションのグローバル責任者を務めていたケルシー・タッカー氏。両氏は社員を新興のコリンシアに引き抜く目的で、部外秘の情報を不正に使用したとベアリングスは主張している。
コリンシアの広報担当者は「仮定の話が多く含まれている」とし、「法廷文書を検証し、当社の弁護士が対応する」と述べた。
ファウラー氏とタッカー氏はコメントの要請にすぐには応じなかった。
ベアリングス、プライベートクレジットへの新規投資停止
ベアリングスはプライベートクレジット・ファンドへの新規投資を全て停止する。新たな事業責任者に移行するまでの間だという。ブルームバーグ・ニュースが確認した顧客向けの書簡で明らかになった。