競泳・今井月が愛知でリオ五輪出場報告「泳ぎの幅広げたい」
地元で五輪出場に向けた報告
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競泳の第92回日本選手権(4~10日、東京)の女子200メートル個人メドレー決勝で2位に入り、リオデジャネイロ五輪(8月、ブラジル)出場を決めた愛知・豊川高校1年、今井月(るな)選手(15)が19日までに、愛知県豊川市で五輪出場に向けた報告や、練習に臨んだ。初の五輪出場について「ベストパフォーマンスで臨み、いい報告をしたい」と活躍を誓った。夢にまでみた舞台への道のりには、悔しさの中で行った新たな種目への取り組み、その後の急成長があった。
得意な泳ぎは「平泳ぎ」
日本選手権の同種目で今井選手は、派遣標準記録(※文末に説明)を突破する2分10秒76で、世界ジュニア記録(18歳以下)を樹立。バタフライ、背泳ぎの前半では伸び悩んだが、後半は平泳ぎで追い上げ、最後の自由形で2位に入った。 得意な泳ぎは、平泳ぎ。小学生の頃から平泳ぎで全国大会や日本学童記録を更新してきた。しかし、中学3年の2015年春、世界選手権出場を懸けた日本選手権で壁に当たる。
悔し涙バネに新記録を樹立
200メートル平泳ぎで、2分23秒55を記録して3位入賞し、日本中学記録と世界ジュニア記録を更新。世界選手権派遣標準記録も突破した。 しかし順位が3位だったため落選。さらに、100メートル平泳ぎでは準優勝するも、派遣標準記録まで0秒24届かず、またも代表入りを逃した。これらのことを今井選手は「これまでで一番悔しかった」と振り返る。 その悔し涙から半年後の秋に転機が訪れた。競泳ワールドカップの200メートル個人メドレーで、中学新記録を樹立した。 同種目はバタフライと背泳ぎ、平泳ぎ、自由形とさまざまな泳ぎをするため「気分転換でやっていた」という。記録が出たことで手応えを感じ、本格的に取り組んだ結果、今回のリオ五輪出場権獲得に至った。
部長「まだまだ伸びしろはある」
同校水泳部の小池隆治部長(54)は「(今井選手は)ひとかきで進む長さが他の選手より秀でていたり、姿勢が良かったりと、生まれもった素質が大きい」と指摘。「苦手な背泳ぎは力強い泳ぎでカバーしていくことが必要。まだまだ伸びしろはある」と、本番までの調整に期待を込めた。 18日は豊川市役所を訪れ、山脇実市長を表敬。豊川高での学内報告会で今井選手は「プレッシャーかかるが、いいレースをして、笑顔で日本に帰国できるようにしたい」と決意表明した。 記者会見では、平泳ぎから個人メドレーへの切り替えについて「大変だったのでは」という記者の質問に対し「平泳ぎができたから、個人メドレーができたと思う」と前向きな一言。「これからも泳ぎの幅を広げていきたい」とリオ五輪、そして2020東京五輪も見据えて、磨きをかける。(斉藤理/MOTIVA) ■今井月(いまい・るな)2000(平成12)年8月15日生まれ。豊川高1年水泳部の15歳。岐阜県出身。岐阜市岐阜西中学校卒業。中学卒業まで本巣スイミングスクール(岐阜県北方町)に通った。水泳は3歳から。小学2年で初めて全国JOCジュニアオリンピックカップ水泳競技大会(春季)に50メートル平泳ぎで出場。同6年で平泳ぎ3種目(50メートル、100メートル、200メートル)と400メートル個人メドレーで日本学童記録を樹立。全国中学校体育大会で女子100メートル、200メートル平泳ぎの2種目を3年連続で制覇。名前の読み「ルナ」は「月」を表すラテン語から。兄の流星(ひかる)さんは、同高3年で水泳部主将。 ※派遣標準記録 日本代表水泳選手団を編成する日本水泳連盟が、五輪の決勝進出を見込めるラインとして、近年の世界ランキングを基に算出した種目ごとのタイム。リオ五輪代表選考について個人種目では、第92回日本選手権で、派遣標準記録を突破して決勝で2位以内に入った選手と定めた。女子200メートル個人メドレーの派遣標準記録は、2分11秒03。