パリオリンピック男子バレーボールを髙橋藍の勝負論で総括 なぜ「1点」届かなかったのか
「(東京五輪のベスト8と今回のベスト8の)違いを言われると、難しいです。(何を言っても)結果は一緒。どちらにしろ、何かが足りなかった。東京五輪の時(準々決勝でブラジルに0-3とストレート負け)は、まだチームを引っ張っていけず、勝たせられる存在ではなかったです。それが今回は、最後の1点を取れなかった。違う悔しさですね。この舞台で勝てる選手になっていきたいと思います」(髙橋) 準々決勝、日本の選手たちは燃えていた。サーブで崩し、ディグで拾い、コンビネーションを使ったオフェンスはワールドクラスだった。イタリアを追い込み、反撃を受けても、あくまで互角。ファイナルセットも、デュースで勝利をつかみかけていた。 日本の選手の実力は十分だった。 ――チームスポーツは才能が束になって出る時代があって、お互いが高め合い、想定外の強さを見せることがあります。今はその時に見えますが......。 筆者が髙橋にそう訊ねた時、彼はこう答えていた。 「あるかもしれませんね。自分自身がやっていても、"(日本の男子バレーは)強いな"とシンプルに感じます。石川選手を筆頭に、海外でやる選手も増えて、海外の選手に気後れせずに戦えるようになったのが、今の日本代表の強さでしょうね」 まごうことなき史上最強のジャパンだった。その戦いは、心を揺り動かした。次は世界最強だ。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki