YouTubeやTikTokで「替え歌」を使っていいか? 笑福亭鶴光のラジオ番組「不適切な替え歌」が物議
楽曲の動画配信には許可が必要だが…
米国の著作権法では、パロディーは〝フェアユース〟として認められているが、日本の著作権法ではパロディーに関する明確な規定はない。そのため他人の楽曲の替え歌を公開することは、常に著作権侵害のリスクがあるという。 「日本のテレビ局やラジオ局は、包括規定があるので、楽曲を放送すること自体は日本音楽著作権協会(JASRAC)にいちいち許可を取らなくていい契約になっています。しかし、誰もが配信などが簡単にできるようになった今、YouTubeやTikTok、ライブ配信アプリなどでの配信は、本来、楽曲には権利者がいるので、配信に関する許可が必要です。しかし、これが替え歌となると案外、グレーゾーンになってしまい、無意識に権利侵害をしてしまっているYouTuberなどが散見されます」(前出の夕刊紙記者)
下ネタはラジオ文化!?
一方、今回、ピンク・レディーの楽曲にクレームが入ったとすれば、その理由について、前出の法曹関係者はこう付け加えた。 「著作権法113条6項の『著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。』に抵触した可能性があるんでしょうね。パロディーと言ってもあまりにひどい下ネタでさすがに許せなかったということでしょう」 パロディーでも下ネタは絶対NGとは、なかなか息苦しい世の中といえそうだが、明石家さんま(68)も、鶴光の件を受け、MCを務める「ヤングタウン土曜日」(MBSラジオ)で、「なんかなあ、寂しい」と語った。 「ヤングタウン」でも昨年まで素人の女性にセクシーなセリフを言わせるコーナーがあり、「あの時は問題別になかったもんな。そういう時代もあるんで、ラジオらしいラジオ、深夜のラジオのファンが喜ぶようないい物が、ご時世的にいろいろ難しいねんな」として避けられない時代の変化を嘆いていた。 「鶴光師匠の替え歌は、しょうもない下ネタも多いが、ラジオ文化の一側面として支持されてきた部分はあるんです。杓子(しゃくし)定規なコンプラ一辺倒になるとそういう文化も廃れてしまいます。一方で替え歌が専門のミュージシャンの嘉門達夫などは、楽曲の著作権者にはすべて許可を取っているといいます。一般の人もYouTubeなどで替え歌を使用する場合は、〝みんなやってるからいいだろう〟と思わずに、JASRACや音楽出版社に確認をとったほうが安全だと思います」(前出の記者) ともあれ、「パロディー」として替え歌を作り、配信などをする際は注意が必要だ。
中原 慶一