柴田恭兵「大勢の方たちが亡くなっていて…」胸アツなエピソード『帰ってきた あぶない刑事』のラストシーンに込められた想い
ラストシーンのジャンプに込められた想い
舘「一番最後のシーン、ふたりでジャンプするでしょ。“そんなに飛べないよ”って原監督に文句言ったんですよ。昔ほど飛べないよって」――あれは台本にはあったんですか? 舘「ないです。『あぶない刑事』は台本に書かれてないことばっかり(笑)」 柴田「あのジャンプのところで、僕と舘さんが、カチャカチャ走りながら、後ろを向いて何か言ってますよね。あそこ、実は“黒澤満さん(企画)、仙元誠三さん(撮影)、長谷部安春さん(監督)、高瀬将嗣さん(殺陣師)、4人の名前を言って、見守ってくれてありがとう。『あぶ刑事』ベイビー、アイラブユー”ってジャンプしてるんです。このシリーズに関わった大勢の方たちが亡くなっていて、その人たちの名前を叫んで」 ――そうなんですか! 舘「恭サマはロマンチストなんだよね。僕はもうハーハーだったんだけど」 柴田「監督にそれを撮ってねって」 舘「満さん(プロデューサー)、仙元さん(撮影)、長谷部監督、それからカシラー高瀬(技斗)。そうした人たちが新しいものを作ったんだと思います。僕らを許容してくれてね。新しいものをと。『あぶない刑事』って、新しいアクションをやったんですよ。全部がなんとなく新しかった。そういうところがすごかったですね。みんなすごく自由で、そして僕らを信じてくれた」 強固な関係が伝わるエピソードに胸が熱くなる。 舘ひろし(たち・ひろし) 1950年3月31日生まれ、愛知県出身。76年に映画『暴力教室』で俳優デビューを飾る。ドラマ『西部警察』をきっかけに石原プロに入社する。36歳の時に『あぶない刑事』のタカ役でブレイク。18年には『終わった人』で第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞を受賞した。近年の主な映画出演作に『アルキメデスの大戦』『ヤクザと家族 The Family』、土方歳三を演じて話題を呼んだ『ゴールデンカムイ』など。現在、ドラマ『ブルーモーメント』に出演中。 柴田恭兵(しばた・きょうへい) 1951年8月18日生まれ、静岡県出身。1975年に劇団「東京キッドブラザーズ」に入団。1986年、ユージを演じたドラマ『あぶない刑事』でブレイク。ドラマ『はみだし刑事情熱系』『ハゲタカ』など、さまざまな作品で演技派として認められている。主な出演映画に『野蛮人のように』『福沢諭吉』『集団左遷』『半落ち』『北のカナリアたち』など。今年2月から放送されたドラマ『舟を編む ~私、辞書つくります~』での演技も支持を集めた。 望月ふみ
望月ふみ