L'Arc~en~Ciel、ZAZEN BOYS、UNISON SQUARE GARDEN、BUCK-TICK……個性光るコンセプチュアルなライブ構成
コロナ禍を経てライブエンターテインメントが勢いを盛り返しつつある昨今。待ち望んだオーディエンスの期待に応えるように様々な種類のライブが予定されているが、本稿ではセクションを分けることによって多様な表現を実現している“コンセプチュアルな構成”のライブを紹介していく。 【写真】約2年ぶりラルクのライブ L'Arc~en~Cielは今年2、4月に『L'Arc~en~Ciel「ARENA TOUR 2024 UNDERGROUND」』を全国6都市で開催。近年は披露する機会の少なかった楽曲を掘り起こすというコンセプトに加え、演出のムードを変えながら3部構成のライブを敢行した。 第1部はハードで妖艶なイメージを打ち出したダークな演出で、2000年代にリリースした楽曲を中心に披露し、第2部では一転して明るいライティングでダンサブルな楽曲やアッパーな楽曲をメインに構成。そして第3部ではシングル曲を中心にクライマックスを彩っていった。じっくりと高揚感をもたらしていくようなこのライブ構成は、観客の声出しが解禁されてから初めてのツアーを特別なものにしたはずだ。 ZAZEN BOYSは初の日本武道館公演を10月27日に開催した。「メンバーの誰もがコードを全く憶えていない名曲などを含め豊富なセットリストを組み、二部構成をもってして3時間超の公演を行う。」(※1)と事前に予告していた通り、大ボリュームのライブとなった。 とはいえ、特殊な演出の用意はなし。幕間にはZAZEN BOYSを映した写真のスライドショーがあるのみで、前半も後半も様々な時代の楽曲がピックアップされ強烈なグルーヴを見せつけていた。単に多くの楽曲を一息つかせながらたっぷり演奏するというライブにおいても、こうした2部構成は機能する。ZAZEN BOYSらしい時間の使い方のうえに成立したライブだったと言えるだろう。 UNISON SQUARE GARDENは7月に3日連続で行った結成20周年記念の武道館ライブにおける、7月25日の公演を2部構成で実施。この日のライブは『オーケストラを観にいこう』と銘打たれ、普段のライブではシーケンスを流す形で演奏しているストリングス/ホーンアレンジの楽曲を生演奏で完全再現するというコンセプトのライブだった。 第1部はオーケストラアレンジの楽曲を中心に、第2部はホーンセクションの楽曲の披露に加え、BIGMAMAのドラマー・Bucket Banquet Bis(ビスたん)、ハンブレッダーズのギタリスト・ukistar(ユニゾンのファンクラブ会員とのこと)、イズミカワソラ、東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊といった縁深いゲストがひっきりなしに登場し、祝祭感がどんどん高まっていく構成に。普段はソリッドなライブを行うユニゾンだからこそ、特別な日であることが強調されたライブとなった。