河井元法相の大規模買収事件巡る刑事手続き終結 渡辺典子・広島県議が失職へ
2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、最高裁は河井克行元法相(61)から現金10万円を受け取ったとして公選法違反(被買収)罪に問われた広島県議渡辺典子被告(40)=広島市安佐北区=の異議申し立てを棄却した。9日付。罰金10万円、追徴金10万円の有罪判決が確定し、公民権が5年間停止され、県議を失職する。 大規模買収事件で、克行氏の妻案里氏(51)=有罪確定、参院選の当選無効=を当選させる目的で克行氏らから現金を受領し、「被買収」とされたのは計100人。このうち、受け取った現金に買収の趣旨はないなどとして法廷で争った地方議員ら12人全員の有罪が確定する。克行氏と案里氏の逮捕から約4年半。一連の事件を巡る刑事手続きが全て終結する。 「被買収」とされた100人については、東京地検が21年7月、受動的な立場だった99人を起訴猶予で不起訴とし、1人を容疑者死亡で不起訴にした。しかし、東京第6検察審査会は辞職せずに議員職にとどまっていた広島県議や広島市議ら35人を「起訴相当」と議決。再捜査した検察当局は22年3月、体調不良の1人を除き、容疑を否認した9人を在宅起訴する一方、容疑を認めた25人を略式起訴した。略式起訴した25人のうち、略式命令を不服とした3人を含む12人が法廷で争った。 広島地裁や同地裁支部は法廷で争った12人について全員を有罪と認定。一部の被告は不起訴約束など検察官による違法な取り調べがあったとも訴えたが、退けられた。二審広島高裁は控訴した10人全員の控訴を棄却。このうち渡辺被告を含めた9人が上告し、いずれも最高裁に棄却された。9人のうち、3人は失職。渡辺被告も通知を受け取り次第、失職する。 渡辺被告は中国新聞の取材に「通知を受け取っていないので、コメントできない」としている。
中国新聞社