<Play・Hard>磐城 選手紹介/13 上田賢選手(1年) 白土遥也選手(2年) /福島
◇好機広げるバント磨く 上田賢選手(1年) 一発で決める送りバントで好機を広げる。正確なスクイズも自慢だ。昨年12月の「ウインターリーグ」と称したチーム紅白戦では、複数の試合でバント成功率が100%だった。「打球の勢いを殺すことを意識し、ボールに当てる直前にバットの位置や角度を微調整している」 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 中学入学時、野球部員は3年生の先輩が3人だけだった。1年から内野手として市選抜メンバーに選ばれ、求められれば内野のどこでも守備に就き、経験を積んだ。 ただ、その先輩たちが卒業した後はずっと1人。週4日は学校の部活動で練習するしかない。ティー打撃や、ひたすら壁に向かってボールを投げ続けるなど、1人でできることをやり続けた。 また、顧問の教師にはノックをしてもらった。どれだけ心強かったか。「最後まで真摯(しんし)に向き合ってくれて感謝しかない。甲子園出場も自分のことのように喜んでくれた」と振り返る。 課題は送球に少し難がある点だ。克服するためチームの「不動の遊撃手」の市毛雄大選手(2年)を手本に、ステップをしっかり踏み、手首を使った送球を心がけている。 つらいことがあっても今は1人ではない。仲間や恩師、支えてくれた人たちへの感謝を胸に聖地に臨む。「安心して起用してもらえるよう精いっぱい頑張る」 ◇「機動破壊」でかき回す 白土遥也選手(2年) 昨秋は、走塁のスペシャリストとして大事な場面で代走を任され、盗塁を決めてきた。「ずば抜けて足が速いわけでもないし、瞬発力があるわけでもない」と自己分析する。その分、リードの取り方やスタートの判断力、けん制球の見極め方などを身に付けた。 その技術を学んだのは中学時代だ。飛び抜けた選手がおらず、チームが掲げていたテーマは「機動破壊」。走塁や犠打など、小技で相手を翻弄(ほんろう)する野球を追求した。「打線をつなぐための走塁技術をたたき込んだ3年間だった」。今も特に大切にしているのは、相手投手の配球の読みだ。「変化球の軌道を見て、低めなら盗塁を狙う。バウンドするかもしれないので」 父勲さん(49)と木村保監督は、磐城野球部で共に甲子園を目指した同級生だ。その夢はかなわなかったが、父からは幼い頃から現役時代の話を聞かされたという。 磐城に進学すると決めた時、父は甲子園への夢を託した。センバツ出場が決まった日、「おめでとう」と寡黙な父らしく、短い言葉でねぎらってくれた。「自分一人の夢じゃない。父の思いも背負って戦いたい」と言葉に力を込める。 打って走ってかき回す。それが自分の理想とする選手像だ。「打線の歯車として、9分の1の戦力として十分に役立てるよう、技術を磨き上げていきたい」=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ◇上田賢選手(1年) 身長164センチ、体重60キロ▽いわき市立錦中学校出身▽三塁手▽右投げ右打ち▽長所は内野の全守備位置をこなせること▽得意教科は社会 ……………………………………………………………………………………………………… ◇白土遥也選手(2年) 身長168センチ、体重61キロ▽いわき市立中央台南中学校出身▽中堅手▽右投げ右打ち▽長所は走塁▽得意教科は現代文