「性教育をしたことがない」保護者が9割 生殖や性を子どもに正しく伝える自信ない親多く
みなさんは、自身の子どもへ「性教育」をしたことがありますか。メルクバイオファーマ株式会社(東京都目黒区)が実施した「高校生と親世代の生殖や性」に関する意識と実態調査によると、約9割の親が「性教育をしたことがない」と回答しました。また、生殖や性に関して、約7割が「子どもに正しく伝える自信がない」と回答したそうです。 【写真】なぜ?「性教育をしたことがない」9割 調査は、全国の15歳~49歳の男女を対象として、2024年3月にインターネットで実施されました。 まず、10代~40代の男女3万1000人に対して、「生殖や性に関する十分な知識を得た経験」について聞いたところ、10代の32.3%が「得た経験がある」と答えているものの、年代が上がるとともに少なくなり、40代では12.9%となりました。 そこで、「生殖や性に関する十分な教育を受けたかったですか」と尋ねたところ、10代の24.8%が「受けたかった」と答えた一方、40代では16.6%とこちらも年代が上がるとともに少なくなっています。 また、「生殖や性に関する教育を受けたかった年齢(理想)」の平均は10代が「13.5歳」、20代が「14.7歳」、30代が「15.1歳」、40代が「15.2歳」でした。 一方、「実際に知識を得た年齢(現実)」の平均年齢は、10代が「13.8歳」、20代が「15.0歳」、30代が「15.2歳」、40代「15.5歳」となり、年代が上がるほど遅いことがわかりました。 続けて、「生殖や性に関する十分な知識を得た経験がある」と答えた人に、「生殖や性に関する情報を誰から教えてもらいましたか」と聞いたところ、「中学校の授業」(10代83.8%、20代70.1%、30代64.5%、40代54.4%)、「小学校の授業」(同50.0%、同48.7%、同51.6%、同49.0%)、「高校の授業」(同57.6%、同50.1%、同38.6%、同27.1%)が上位となりました。 また、「生殖や性について教えてもらった内容」については、「男女の身体の違い」が全年代で8割超、「男女の身体の機能の違い」「月経(排卵)が起きる仕組み」「妊娠の仕組み」でも7割を超えているほか、「性感染症やその予防」「性被害・性暴力」「ジェンダーの多様性やLGBTQ+」では、10代と他の年代のスコア差が特に大きくなっていました。 他方、20代~40代の子どもがいる人に、「自身の子どもに生殖や性に関する教育をした経験」について聞いたところ、「性教育をしたことがある」と答えた割合は、20代が8.0%、30代が8.7%、40代が8.6%といずれも10%に満たないことがわかりました。 ◇ ◇ 次に、高校生の男女200人と、第一子が高校生の親400人(それぞれ各100人ずつ)を対象に、「生殖や性に関する身体のことを親子で話し合った経験」について聞いたところ、「十分話したことがある」と答えた高校生は男女とも8.0%、親は男子高校生の父親・母親がそれぞれ7.0%、女子高校生の父親が8.0%、母親が6.0%にとどまりました。 「親子で話し合った経験がない」と答えた高校生(184人)と親(372人)にその理由を尋ねたところ、高校生は「気まずいから」(44.0%)、「恥ずかしいから」(40.8%)、親は「タイミングがないから」(24.7%)、「どう話したらいいかわからないから」(17.7%)が高校生に比べ高くなっています。 第一子が高校生の親に対して、「生殖や性に関する知識や正しい情報がなくて困った経験」について聞いたところ、「とてもある」(6.5%)と「まあある」(18.8%)を合わせると、親の25.3%が知識や情報がなくて“困った経験がある”と回答しており、特に男子高校生の父親が29.0%で最も多くなりました。 また、「知識や正しい情報がなくて困った経験」については、男子高校生の父親と女子高校生の母親は「女性の身体の仕組み」(58.6%、40.9%)、男子高校生の母親は「安全な避妊方法」(55.6%)、女子高校生の父親は「妊娠の仕組み」(56.5%)がそれぞれ最多となりました。 続けて、「生殖や性に関する知識を自分の子ども正しく伝えられる自信」について聞いたところ、第一子が高校生の親の約7割が「自身がない」(あまりない44.0%、まったくない29.0%)と回答。特に父親(男子高校生の父親68.0%/女子高校生の父親67.0%)に比べると、母親(男子高校生の母親79.0%/女子高校生の母親78.0%)のほうが自信がない割合が高いことがわかりました。 そこで、「生殖や性に関する医学的に正しい情報が十分得られていると思いますか」と全回答者に尋ねたところ、「正しい知識が得られている」と答えた割合は、男子高校生で48.0%、女子高校生は54.0%だったのに対し、親は3割以下にとどまり、中でも男子高校生の父親は19.0%と最も低くなりました。 最後に、「生殖や性に関する情報源(人や機関。メディアは含まず)」を教えてもらったところ、男子高校生は「友人・知人」(31.0%)、女子高校生は「学校の先生(養護教諭以外)」(43.0%)が最多に。 また、生殖や性に関する情報を得る際のメディアについて「チェックするメディア」は、男女いずれも「ニュース系ウェブサイト」「動画配信・共有サイト」「学校の教材」が上位に挙げられたものの、「特に気にしていない、わからない」が約4割でトップでした。 「信頼できるメディア」としても「学校の教材」が男女ともに多いものの、こちらも「特に気にしていない、わからない」が4割超で最多となりました。 一方、親の「情報源(人や機関。メディアは含まず)」「チェックするメディア」「信頼できるメディア」としては、いずれの項目も「特にない・わからない」が最も多くなりました。
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