杉咲花×若葉竜也『アンメット』は、記憶障害の悲劇を強調しない。傑作の予感!脳外科医が自分を取り戻すドラマの1~2話を振り返る
杉咲花と若葉竜也、息のあった演技
記憶障害を患いながら仕事に向き合う姿を、抑えた表現で丁寧に演じる杉咲花。能力の高い変わり者の三瓶をその佇まいで表現する若葉竜也。二人の演技がとてもいい。 杉咲と若葉はこれまで、朝ドラ『おちょやん』(NHK 2020)、『杉咲花の撮休』(WOWOW 2023)、映画『市子』(2023)で共演をしてきた仲。今作でも、プロデューサーが若葉へのオファーを検討していると聞いた杉咲が「三瓶役には若葉さんしかいないんじゃないかと思って」直接電話をかけ、「やるよね」と念を押したのだという(『アンメット』会見より)。そんな二人のシーンでは、互いの演技を信頼している様子が伝わってくるようだ。 1話でも2話でも三瓶がミヤビにグミを勧めるシーンでは、ストーリーの流れに直接関係しないような、なんてことのない会話が交わされている。その会話がとても自然で、見ていて心地いい。「セロトニンを増やすための咀嚼を促すから」グミを食べている、という部分から三瓶のパーソナルが見えてくるのも魅力的だ。2話では三瓶がビタミンC補給のために抹茶パウダーを大量にふりかけたドリンクを飲む展開もあった。二人のこんなシーンが今後も楽しみだ。 1話で示唆されていた、ミヤビと三瓶の過去の関係。2話ラストでは、三瓶の口から直接、二人が婚約していた間柄であったことが語られた。ミヤビと三瓶の過去は、そしてミヤビのこれからはどうなっていくのだろうか。 Text_釣木文恵 Illustration_オカヤイヅミ Edit_Yukiko Arai