「歴史のデマ」振りまく団体を後押しするのか?群馬県の追悼碑撤去問題
歴史修正主義者の狙いとは
東京都の朝鮮人虐殺慰霊碑前の追悼式典にも抗議が来て、トラブルが起きています。抗議の目的は「慰霊式典自体を中止させ、慰霊碑を撤去させることだ」と、団体も言っています。自分たちが「真実の慰霊祭」をやることによって、本来の慰霊祭とは別にもう一つあるじゃないか、と。「もめているのだったら両方を中止させてしまえ」と東京都が命じることを狙っています。同じ団体が、群馬の碑についてもいろいろな主張をして、県に要請もしているのです。 産経新聞2023年6月16日 『最高裁決定から1年「早く撤去を」 群馬の森・朝鮮人追悼碑前で集会』
群馬県が全国の先鞭となる可能性
この件については、韓国でものすごく大きくニュースに取り上げられています。「またか」と思いました。こうやって国と国の関係が乱れてしまう…。撤去を求めている側と、結果的にそれに加担してしまっている知事の立場に私は立てません。 群馬県は私の故郷であり、県庁には同級生がいっぱいいます。この件に関わらされているのではないかと思うと、げんなりしてしまいます。歴史改ざんの流れを後押しするようなことになってしまってはいけません。「友好」について願う碑自体は問題ないと知事が言うのだったら、その碑を存続させて何の問題があるのでしょう。 昔の発言について、その後は何も問題は起こっていないのに、撤去するという知事の決断については、極めて大きな違和感を持っています。何か、故郷が汚されてきているような気がします。 これは「群馬の森」だけの問題ではなく、日本中でこういうことが起こり得ます。先鞭になる可能性があるんです。福岡にも追悼碑はあります。こういったことを認めてはいけないと私は強く思っています。
神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。報道部長、ドキュメンタリーエグゼクティブプロデューサーなどを経て現職。近著に、ラジオ『SCRATCH差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』の制作過程を詳述した『ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る』(共著、石風社)がある。80分の最新ドキュメンタリー『リリアンの揺りかご』は3月30日、TBSドキュメンタリー映画祭・福岡会場で上映予定。