コーヒーの「BOSS」、じつはそのユニークな商品名には「意外な由来」があった…!
あのロングセラー商品はどのようにして生まれ、どのようにヒットをつづけてきたのか。その道のりをたどる「ロングセラー物語」。今回は、発売から32年となる、サントリー食品インターナショナルの「BOSS」にスポットを当てる。現在のブランド担当者が商品の歴史と今を語る。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答 〔撮影:西崎進也〕 ---------- 【語る人】大塚匠さん おおつか・たくみ/'81年、東京都生まれ。中央大学法学部卒。'04年、サントリー入社。「金麦」などのビール開発に携わる。10年に食品部門に異動。'23年よりブランド開発部部長。 ----------
飲む人を叱咤激励する
開発をスタートさせたとき、缶コーヒーを誰が飲んでいるのかを改めて徹底的に調べたのだそうです。 すると、外回りの営業さんやドライバー、建設現場で働く方などが多かった。だから、自動販売機でよく売れていたんですね。 しかも一人で飲んでいる人が多かった。実はそうした人たちを叱咤激励しているのが缶コーヒーなんじゃないかと当時の開発陣が発見するんです。 そこから、働く人たちにとっての缶コーヒーは相棒だ、という言葉が出てきました。相棒として親しみを持ってもらえるような顔のマークが誕生し、「あなたの仕事の中ではあなたがボス」「やっぱりいつかはボスになりたい」といったイメージから「BOSS」というネーミングに辿り着いたのだそうです。 実は'87年に発売した「WEST」という缶コーヒーがあり、ハリウッドスターをCMに起用するなどしてヒットするんですが、思うような結果にはなりませんでした。理由は、競合を意識して開発したこと。だから、小さい競合になってしまったのだと聞いています。そこで、自分たちにしか作れない缶コーヒーを作るんだ、となったんですね。 これも当時の方々からお聞きしたんですが、「いい商品、納得ができるまでは絶対に出さない」と決めていたそうです。そして、会社も我慢してくれた。結果的に20ヵ月ほどかかったと聞いています。 会社としての期待も大きくて、その象徴が今も街中にある当社の自動販売機のラッピングがすべて「BOSS」になっていることです。自動販売機の売り上げの約4割が、当時は缶コーヒーだったんです。 缶コーヒーを強くすることは、自動販売機を強くすることになる。それは、事業の根幹を強くするのだ、と。実はラッピングにはお金もかかるし、労力もかかるんですが、ブランドを作っていくんだという、まさに意思の表れだったのだと思います。 これは今もそうですが、味も「働く人の相棒」というコンセプトを表現することにこだわっています。当初の試作品は1000種類以上になったそうです。 ブレンドの頂点、という当時の言葉が残っていますが、いろいろな抽出方法に挑み、味わい深く香りがある、でも飲みやすく後切れがいいものが、どうすればできるのか、いろいろ試したようです。 特徴的な味わいや香りはもちろん、1日に何本も飲むこともあるので、やはり最後は飲みやすさ、飽きずにまた飲みたくなる味をずっと探ってきた歴史があります。