【医師解説】「子宮内避妊リング(ミレーナ)」は絶対避妊できる? 費用や副作用について
一般に避妊リングともいわれるミレーナは、子宮内に装着することで避妊の効果を得る避妊具のことをいいます。高い避妊効果があるだけでなく、月経困難症や過多月経の改善などの効果も見られるミレーナですが、本当に確実に避妊できるのでしょうか? 費用やリスクなども含め、泉医院の泉先生に教えていただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
子宮内避妊リング(ミレーナ)とは?
編集部: ミレーナとはなんですか? 泉先生: 子宮内に装着する新しいタイプの避妊システムで、一般に「避妊リング」とも呼ばれます。 編集部: どのような仕組みで避妊できるのですか? 泉先生: ミレーナを子宮内に入れると、レボノルゲストレルという黄体ホルモンが継続的に放出されます。このレボノルゲストレルはホルモン製剤のひとつであり、緊急避妊を目的としたアフターピルとしても用いられています。ミレーナを装着するとこのホルモンが放出され、子宮内膜が萎縮します。そのため、受精卵の着床を防ぐ効果が期待できるのです。 編集部: 避妊の効果はどれくらい高いのですか? 泉先生: 研究により、避妊の失敗率が非常に低いことがわかっています。一般にピルの失敗率が0.6%であるのに対して、ミレーナは0.14%です。 編集部: どのようにして使用するのですか? 泉先生: 月経が始まった日から数え、7日以内に挿入します。その後、基本的に5年間は入れっぱなしになり、避妊の効果は5年間持続します。ミレーナを装着している間も排卵は起きており、もし装着期間内に子どもが欲しくなった場合にはミレーナを取り出せば良いので、安心して使用してください。
避妊以外にも、どのような効果があるのか?
編集部: ミレーナは避妊のほか、どのような効果があるのですか? 泉先生: たとえば過多月経や生理痛がひどい方にも有効です。なぜなら、ミレーナは子宮内膜の増殖を抑えるからです。月経量が減るので月経が軽くなるというメリットがあります。 編集部: 月経が楽になるのは女性にとってはうれしいですね。 泉先生: 子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症で月経が重い方には特に高い症状改善効果を見込めます。また2014年より、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などによる過多月経や月経困難症の治療としてのミレーナが保険適用になりました。 編集部: そのほか、ミレーナはどのような人におすすめですか? 泉先生: たとえば避妊のためにピルが服用できない方にもおすすめです。一般に、40歳以上だったり、喫煙者だったり、血栓リスクが高かったりする人は避妊目的でピルを使用することができません。しかしミレーナは全身ではなく、子宮とその周辺のみ作用するため副作用が少なく、安心して使うことができるのもメリットといえるでしょう。 編集部: ミレーナにはどのような副作用があるのですか? 泉先生: 月経出血日数の延長・月経周期の変化・卵巣のう胞・月経時期以外の出血・腹痛などがあります。また重大な副作用として、骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、穿孔、卵巣のう胞破裂などがあります。そのためミレーナを使用している期間は定期的に検診を受ける必要があります。 編集部: 出血などの副作用があるのですね。 泉先生: はい、粘膜下筋腫ができた場合、また子宮内への感染した場合には出血が続くことがあります。多くの場合3カ月程度、長く続く人で半年程度出血が続くことがありますが、人によっては1カ月くらいでおさまる人もいます。もし出血がどうしても気になるという方は、医師にご相談ください。