ゼレンスキー氏、国連事務総長のウクライナ訪問拒否 ロシアでのBRICS会議出席に反発
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が国連のアントニオ・グテーレス事務総長のウクライナ訪問を拒否したと、ウクライナ大統領府筋が25日、BBCに語った。グテーレス氏は今週、新興5カ国(BRICS)首脳会議に主席するため開催地のロシア中部カザンを訪れていた。 グテーレス氏はBRICS首脳会議に出席した後、ウクライナの首都キーウを訪問することを希望していたとみられる。 「(ゼレンスキー)大統領は彼(グテーレス氏)の訪問を認めなかった」と、この情報筋はBBCに語った。「カザンを訪問し、この戦争を引き起こした張本人と握手し、侵略者の領土で国連の日(10月24日)を過ごした彼(グテーレス氏)をここで迎えるのは奇妙だ」。 2022年にウクライナへの全面侵攻を開始したロシアをグテーレス氏が訪問したことに、ウクライナで大勢が落胆した。 グテーレス氏はロシア滞在中、ウクライナの「公正な平和」を求め、ロシアのウクライナ侵攻は「国連憲章と国際法に違反している」との自身の立場を、ウラジーミル・プーチン大統領に改めて示した。 グテーレス氏のカザン訪問に先立ち、ウクライナ外務省は「これは平和の大義を推進しない、誤った選択だ。国連の評判を傷つけるだけだ」との声明を出していた。 「国連事務総長は、スイスで開催された第1回『世界平和サミット』へのウクライナからの招待を断った。しかし、戦争犯罪人プーチンからのカザンへの招待は受けた」 ウクライナ主導で6月にスイスで開催された「平和サミット」には90カ国以上が参加。ウクライナ侵攻を非難し、戦争終結のための和平案が提示された。 招待されなかったロシア政府は、無意味なサミットだと一蹴した。 オランダ・ハーグに本部を置く国際刑事裁判所(ICC)は2023年3月、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領らに逮捕状を出した。 ICCは2002年の国連条約「ローマ規程」により設立された。ロシアはこの規程を批准していない。 グテーレス氏はBRICSで、「我々はウクライナでの平和を求めている。国連憲章、国際法、国連総会決議に沿った公正な平和を」との声明を出した。 国連事務総長室は、「国際的協力を促進する」というBRICSの役割に言及し、グテーレス氏のBRICS首脳会議への参加の正当性を主張した。 2006年にブラジル、ロシア、インド、中国によって発足したBRICSには、後に南アフリカ、イラン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦が加わった。 ロシアや中国といったBRICSの有力国は、主要7カ国(G7)に対抗しようとしていると、多くのアナリストは指摘する。 G7の現加盟国はカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカ。 (英語記事 Zelensky snubs UN chief Guterres after his Russia trip)
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