日本はキューバに勝てるのか。攻略3か条とは。
いよいよ今日7日、侍ジャパンは東京ドームで行われるWBCの開幕戦でキューバとの対戦を迎えることになる。キューバは強化試合では、オリックスと3-3の引き分け、西武に0-5と完敗。2006年大会の決勝でキューバと対戦した際、コーチとしてベンチにいた西武の辻監督が、「以前のキューバに比べると脅威に感じなかった。もっと迫力があるというか、振ってくるイメージがあったが、そんなでもなかった」と語るなど、赤い稲妻と世界中で恐れられたチームの面影はない。セスペデス、アブレイユ、グリエル、チャップマン、プイグら、チームの主力が次から次へとメジャーに亡命。巨人時代に役に立たなかった36歳のセペダを3番にすえなければならないほど。 それでも小久保監督は、「本番では2割増しでくるんじゃないかという話をしている」と、ラテン系のチームの特色ともいえる本番での豹変を警戒している。 しかも、侍ジャパンは強化試合を2勝3敗と負け越した。5試合のチーム防御率は3.07でチーム全体として計44イニングで49三振を奪うなど安定感に目処が立った投手陣に比べ、打線はチーム打率.216、本塁打は、山田、中田、鈴木の3本で、1試合平均得点は3.8点と低迷。「(打線は)まだもうひと晩考えたい。特にサードをどうするか」と小久保監督が、最後まで打順編成に悩むほど不完全な「投高打低」のチーム状況のまま本番を迎えることになったのである。 「大事なのは初戦。開幕のキューバ戦でいいスタートを切れればのっていける」という小久保監督は、先発に石川(ロッテ)を抜擢したが、その重要な開幕戦に果たして勝つことができるのだろうか。 北京五輪の日本代表チームのチームスコアラーを務め、対戦国攻略のため世界中を駆け巡ってデータを集めた経験のある三宅博さん(現在、岡山商科大特別コーチ)は、キューバ攻略のために、絶対に守らねばならない条件が3つあるという。 (1)バッテリーはインサイドをえぐれ! 「国際試合は、どうしても緊張や一発勝負の戸惑いもあり、なかなか点を奪えず守備的な試合になる。勝つためには、まず点を取られないこと。キューバ打線は、思い切り踏み込んで振ってくる傾向にあるので、インサイドの配球を使うことと、縦の変化、落ちるボールが有効になる。ストレートとスライダーによるアウトコースのボールの出し入れに対しては、国内リーグで慣れているキューバは対応してくる。 マスクをかぶる小林が、インサイドを使えるかが重要。あの名捕手の谷繁さんでさえ、『国際試合は一発勝負は怖いので、無難な外中心の配球になってしまう』と、言っていたことがある。キューバの打者は、腕が長いので外は届く。やはりインサイドは苦手なのだが、振りが鋭いので、内角球を使うには、勇気と信頼が必要になるのだ。先発の石川のシンカー、千賀のフォーク。こういう縦のボールは有効にはなると思う」 日本は台湾リーグ選抜との壮行試合の初戦では、則本(楽天)らが、まったくインサイドを使えずめった打ちされたが、翌日のゲームでは、小林(巨人)がインサイドを配球に組み込み、先発の菅野(巨人)は、三塁を踏まさず、2番手の石川も3回を3安打6奪三振1失点にまとめた。三宅さんが指摘するように、小林が勇気を持って、攻めのリードができるか、どうかがポイントだろう。