湿地に清楚な白い花、ミズバショウ見ごろ 長野・鬼無里の81万株
長野市の山間部・鬼無里(きなさ)や戸隠(とがくし)でミズバショウが見ごろになり、県内外から観光客が訪れています。山を覆う残雪と満開のオオヤマザクラ、日の光に輝く新緑と、冬から初夏へ3つの季節が響き合う観察コースの光景に感嘆の声も。5月下旬ごろまで多くの来訪者が信州の自然を満喫します。
オオヤマザクラと雪との競演も
鬼無里のミズバショウは、千曲川支流の裾花川の源流にさかのぼった湿地帯に群生し、一帯は122ヘクタールの奥裾花(おくすそばな)自然園として整備されています。群生の規模は81万本と全国有数。残雪に囲まれた大きな池のような湿地に清らかな白い姿を無数に見せています。 ミズバショウの群生が発見されたのは1964(昭和39)年。自然園一帯は、推定樹齢400年のトチノキや同300年のブナ、同350年のミズナラ、シナノキなどの巨木群が目を引きます。特にブナの原生林は貴重とされています。
同自然園は、長野県の天然記念物であるモリアオガエルの繁殖地のほか、野鳥、クロサンショウウオなど多彩な動植物の生息地でもあり、ミズバショウとともに自然観察が楽しめます。 14日の日曜日も多くのツアー客らがバスで訪れ、雪が所々に残る道をミズバショウの群生地に向かいました。鮮やかなピンク色で満開のオオヤマザクラに女性たちが歓声を上げ、風にそよぐ新緑に「信州は爽やかねえ」。湿地帯の周りの雪を踏みながらゆっくり歩き、カメラを構える人たちも。 ミズバショウは長野市戸隠の戸隠森林植物園にも50万本といわれる群落があり、10月まで毎週日曜日午前10時からボランティアが自然観察会を開いています。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説