トランプ・メディア株のオプションが人気-95%急落に備えるプット
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領が率いるメディア企業の株式公開を目指した特別買収目的会社(SPAC)デジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)の株価が急騰する中、オプション市場では、数週間以内に同株がその価値をほぼ全て失うことに備えるプット(売る権利)が最も人気だ。
トランプ氏のソーシャルメディア会社との合併手続きが25日に完了したのに伴い、DWACは社名を「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ」に変更。26日からは「DJT」のティッカーで取引される。
トランプ氏のソーシャルメディア企業、26日からナスダックで取引開始
DWACの25日終値は前営業日比35%高の49.95ドル。トレーダーは4月19日期限で行使価格2.50ドルのプットオプションを1万5000枚(150万株に相当)超購入した。それまでに株価が95%下げるとの見方でそうした賭けを行っているとも考えられるが、より可能性の高い理由が他にある。
このオプションを購入したトレーダーは、プットの権利行使ができるとは考えていない公算が大きい。ただ、1月中旬以降、DWAC株の大幅な変動が続いていることを勘案すると、再び急落局面が到来した場合は、1枚当たり2-3セントで買ったプットオプションを数セント上乗せして売却できる可能性もある。
一方、インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は、より平凡な理論を掲げている。一部のトレーダーがDWACのようなボラティリティーの高い銘柄に対して、ブローカーの要件を満たすためだけにプットオプションを買ったとの分析だ。
こうしたケースでは、ブローカーはトレーダーにネーキッド(原資産を持たない)オプションの売りを認めない可能性がある。このため、トレーダーは株価から大きく乖離(かいり)した行使価格を設定したアウト・オブ・ザ・マネーのプットオプションを安値で買うことによって、ネーキッド・オプションの売りを理論的にはリスクを抑える手段に変えることが可能になる。