食料自給力が過去最低 芋類生産中心の指標 農地減、労力不足が深刻
農水省は、国内で食料を最大限賄う能力を示す、2023年度の「食料自給力指標」を示した。芋類をできるだけ作付けした場合の供給量は1人1日当たり前年度比24キロカロリー減の2362キロカロリーで過去最低となった。農業者の減少などで低下傾向にあり、労働力確保が急務となっている。 【図表】食料自給力の内訳 食料自給力指標では、輸入が途絶えるといった有事の際の潜在的な生産能力が把握できる。輸入を組み合わせた現在の食生活では、23年度で1人1日当たり2203キロカロリーを確保。このうち1362キロカロリーを輸入で手当てする。体重維持に必要な推定エネルギー量は同2167キロカロリー。 国内生産のみで芋類中心に作付けした場合の1人1日当たりの供給可能熱量は23年度、これらを上回った。芋類で1408キロカロリーを賄う計算だ。ただ、同省が公表している09年度以降では過去最低だった。23年度は、基幹的農業従事者数や雇用者数などを合算した農業就業者数が前年度比で5万人減の141万人となった他、農地面積は同2・8万ヘクタール減の429・7万ヘクタールとなったことなどが影響した。 一方、米・小麦を最大限作付けした場合は、23年度は小麦の収量増加が押し上げ、1人1日当たり前年度比16キロカロリー増の1752キロカロリーとなった。米で834キロカロリー、小麦で437キロカロリーを供給する想定。全体として、体重維持に必要なエネルギー量は下回った。米・小麦は芋類よりも少ない労働力で生産できることもあり、10年度以降、1人1日当たり1700キロカロリー台での横ばいが続く。 世界人口増加や気候変動で、食料供給を巡るリスクが高まる。同省は、食料自給力向上へ、労働力確保や省力化などの技術改善が重要とした。(本田恵梨)
<ことば> 食料自給力指標
栄養バランスを考慮した上で、花など食用ではない作物を栽培する農地や荒廃農地などもフル活用してカロリーが高い作物を最大限生産する場合の供給能力を評価する。米・小麦中心に作付けした場合と、芋類中心の2種類で示す。
日本農業新聞