麻生、菅両氏の関係の実態

　とはいえ、いずれも決定力のある候補とは言えず、旧二階派所属の当選4回ながら経済安保相を経験している小林鷹之氏をめぐって、麻生、菅の両氏がオリジナル候補とするための綱引きを進めているとの報道もあった。 「一般には無名ですが、財務官僚出身で長身イケメンの49歳。新鮮味があるのは間違いない。こういう人材を自民党が選べば世の中に風が起こりそうな雰囲気もありますね。政権運営については未知数で不安しかありませんが。麻生、菅の両氏は対立関係にあるのは間違いないですが、財務相、官房長官として歴代最長の安倍政権を支えた2人ですし、ともに首相経験者という共通点もある。絶対的に折り合えないかというとそんなことはないという意見も結構あります」（同） 　例えば、麻生氏は石破氏に対して、かつて自民党がもがき苦しんでいる時に党を飛び出していったことを非難し続けてきた。 「石破氏の勝利が見えているという状況になってなお支持に回れないかというと、そんなことはないのではという声もありますね」（同） 　現状を総括すると、総裁選が次期衆院選で勝てる顔を選ぶ場であるのはもちろんだが、誰も非主流派にはなりたくない、誰もが相乗りできる候補がいるならそれがベターかもしれない……といったところだろうか。派閥が解消されたとはいえ、依然として旧派閥単位での票読みが進んでいることに忸怩（じくじ）たる思いを抱えているのは、他ならぬ岸田首相なのかもしれない。

デイリー新潮編集部