「美しくも恐ろしい」実写版『金田一少年の事件簿』で「残酷な犯人役」を演じた女優たち
■姿なく人々を消していく“幽霊船長”の正体…「幽霊客船殺人事件」雛形あきこ
『金田一少年の事件簿』は小説版も刊行されており、原作者の天樹さんが小説オリジナルのエピソードを書き上げていることでも知られている。なかでも、のちにドラマ化された人気のエピソードと言えば、「幽霊客船殺人事件」だろう。 本作は主人公・一役を「嵐」の松本潤さんが演じたことでも話題を呼んだが、そのほかにも石原良純さんや伊武雅刀さん、いかりや長介さんといった豪華俳優陣が集結している。 事件は海上を進む客船という疑似的な密室空間で起こる。一人、また一人と登場人物が消えていく様子が非常に恐ろしく、手に汗握る展開が続く。 そんな本作において犯人の香取洋子を演じているのが、グラビアアイドルを経て女優、声優、歌手といった幅広い分野で活躍している雛形あきこさんだ。 小笠原行きの客船・コバルトマリン号で雑用係として働く洋子。客船に乗り込んだ一たちを案内したり、食事を準備したりと随所で活躍を見せるのだが、実はこれらは仮の姿……。彼女こそ本作で数々の殺人を犯していた“幽霊船長”の正体だった。 一に犯人だと突き止められるとキッと冷たい目線を向け「あんたなんかに私の何が分かるって言うのよ!」と、敵意丸出しの言葉を投げかける。これまでの優しそうな姿はどこへやら、この凄まじい豹変っぷりに驚いた視聴者も多かっただろう。 しかも作中で雛形さんは、偶然にも一と唇を重ねてしまうキスシーンも披露。物語の随所で雛形さんの意外な一面を垣間見ることができる、実にレアなエピソードと言えるかもしれない。
■血を抜き取り人々を殺める現代の“吸血鬼”…「吸血鬼伝説殺人事件」星野真里
2005年に放送されたスペシャルドラマ版では、「KAT-TUN」の亀梨和也さんが、三代目“金田一一”を継ぐこととなった。 スペシャルドラマとして放送された「吸血鬼伝説殺人事件」では、吸血鬼伝説が残る山間の廃村のペンションに宿泊した一と美雪が、血を抜かれた死体を発見したことで事件へと巻き込まれていく。 本作は、初めて一が難事件に立ち向かうシチュエーションもさることながら、ヒロイン・美雪が“吸血鬼”の疑いをかけられるという珍しいパターンで事件が展開していく。 吸血鬼を彷彿とさせるおぞましい手法で人々が殺されていくこの事件において、真犯人・湊青子を演じたのが、『さよならみどりちゃん』、『空気人形』といった数々の映画でも活躍している星野真里さんだ。 青子はペンション「ルーウィン」のスタッフであり、普段は気が利く明るい女性なのだが、実はその胸中には激しい復讐心を宿していた。そして、きっかけとなったかつての事件になぞらえて被害者たちから血を抜き取っていく。 素性を明かしてからの凄味のある星野さんの演技は、復讐に燃える青子が抱えた闇を見事に表現していた。親切なペンションのスタッフでありながら、同時に人の血を抜き取る殺人犯という強烈なギャップにはぞくりとさせられてしまう。 世代ごとにさまざまなキャストが起用される『金田一少年の事件簿』だが、あらためて見てみると、実に意外な女優たちが殺人犯として活躍していることに驚かされてしまう。 ときに美しく、ときに残酷に立ち振る舞う彼女たちの姿を、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。
創也慎介