「年収の壁」助成金の利用見込みは3749社。年収の壁・支援強化パッケージの効果とは
「年収の壁・支援強化パッケージ」活用事例
「年収の壁・支援強化パッケージ」において、キャリアアップ助成制度を利用する人は、コースごとに以下の通りになりました。 ・手当等支給メニュー:約500名 ・労働時間延長メニュー:約700名 2024年1月末時点で取りまとめた「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用事例を確認しましょう。 ●キャリアアップ助成制度「手当等支給メニュー」 「手当等支給メニュー」では、週20時間以上の労働を希望している従業員が、社会保険料によって手取りが減少しないように、企業が社会保険料に相当する額を助成します。 企業の活用事例では、新たに社会保険が適用される従業員に対して、2年間の手当を支給する見通しです。 ただし、手当等支給メニューは3年目まで助成されますが、その後は助成制度がありません。将来的には、社会保険料の負担をする可能性もあるので、その点については注意が必要です。 ●キャリアアップ助成制度「労働時間延長メニュー」 労働時間延長メニューは、年収128万円を超える収入を希望する場合、労働時間の延長を整備する制度です。 活用事例では、労働時間を延長できる従業員の労働時間を、1週間で4時間以上延長しています。 キャリアアップ助成金によって、以下の効果がみられたと報告されています。 ・社会保険加入者が増加 ・勤務時間が増加し、人手不足の解消に寄与 計画届を受理した3749件の活用が、どのような効果を及ぼすのか、引き続き検証していく必要があるでしょう。
2024年10月に社会保険適用拡大
社会保険の適用要件は、2024年10月に改定される見通しです。 現行では、年収106万円以上で従業員が101人以上の場合が適用ですが、10月以降は従業員数が51人以上で適用されます。 「年収の壁・支援強化パッケージ」によって、手取りの減少や労働力不足が解消されるのか、引き続き注目しましょう。
参考資料
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」 ・厚生労働省「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)活用事例」 ・厚生労働省「「年収の壁・支援強化パッケージ」キャリアアップ助成金 計画届受理状況の取りまとめ (令和6年1月末時点)」
川辺 拓也