テリー伊藤“元気がないテレビ”風潮に異論「テレビはまだまだトップ」
今こそ、新しいことをやれる一番のチャンス
娯楽業界全体が後ろ向きになっている今こそ、チャンスともいう。「“今のテレビはつまらない”、“元気がない”と言ってしまうことは、“今どきの若いやつらは……”と言っているのと同じ。30年後の人から見たら、滑稽でしかない。それに皆がネガティブに捉えている時だからこそ、新しい事をやれる一番のチャンスでもある」と、懐古主義ではなく未来志向を促す。 現代を「引いた目で社会や人生をみている時代」と分析しながら「テレビもどんどんシンプルになっていくだろうね。修業して、下積み生活をして、どやされて成長して作るというプロセスではなくなっていくような気がする。ことバラエティにおいては、何から何まで研ぎ澄まされたようなものは少なくなるだろうし、編集に凝って、字幕スーパーを沢山いれて編集所で徹夜して作業するという流れも、即席の食べ物が一般化していくのと同じように、時代にそぐわなくなる」と、感性と時代の変化に伴った見直しの必要性を説く。
喧嘩腰で挑発するのは「もうやめた」
テリー自身、演者としてテレビに出演する際は、その時代に合わせた立ち位置を自覚的に調整してきた。喧嘩腰で怒鳴り散らし挑発するのは、今では控えるようになった。 「俺自身テレビを家で見ている時に、深刻な顔してモノを言われるのは嫌だもん。だから自分としては、ずっとスケベな事を言って“まだあいつはくだらない事を言っている!”と思われるくらいが丁度いい。面白い事や楽しい事だけをやっていきたいね」と笑う。 現在66歳。今後の目標は「ない、ゼロ、行き当たりばったり!仕事をするよりも、女の子とデートしている方が面白い」というものの、司会を務めるBSフジのトークバラエティ「テリー伊藤の今夜も傾奇流!」では相変わらずのテリー節が炸裂。格闘家の曙太郎、不倫騒動で話題の矢口真里、シングルマザーの安藤美姫らをゲストに招き、赤裸々トークを繰り広げる。 「ありがたいことに皆さんが本音で喋ってくれて、ぶっちゃけトークもある。意外とディープな話も聞けてかなり楽しい。僕にだからこそ話せる、というゲストの方々にこれからも来ていただければ」とアピールする。鬼才はいくつになっても元気ハツラツだ。 (取材・文/石井隼人) ■テリー伊藤(てりー・いとう) 1949年12月27日、東京都出身。1973年にIVSテレビ制作に入社したことをきっかけに、テレビマンとしてのキャリアをスタート。演出家として「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」などのヒット番組を数多く手掛ける。現在司会を務めるBSフジの「テリー伊藤の今夜も傾奇流!」(水曜深夜25:00※月1放送)は、「常識に囚われず、己の道を貫いて生きる傾奇者」をテーマに、漫画界・スポーツ界・芸能界など各界を代表する“傾奇者”をゲストに招く。