「お客さんがいなくなった」人口ゼロになった町で守り続けた林業 メイドイン福島の木材『万博のシンボル』に
朝田さん「先祖からやってきた木材を使う商売を私の代で失くしていいのかという思いがあった」 しかし、原発事故の影響で県産木材に対する風評被害は根強く、町内にあった同業者は次々と廃業していきました。 朝田さん「お客さんすらいなくなってしまったところから始まっているので、どうやってお客さんを作るかが一番大事というか苦労したところですね」 心の支えになったのが、母・邦子さんのメッセージでした。 朝田さん「これは私の母が震災後、こういうのが大好きで(作った)」 会社に飾られているフェルトに刺繍されたのは『ガンバレ、朝田木材産業』という文字。「家業」そして「故郷の林業」を守り続ける。国内有数の木材製造拠点を目指し、朝田さんは、郡山市の企業と共同でウッドコアを設立しました。 ■最先端設備導入「本当の日本一目指して」 工場では、珍しい技術が導入されています。 朝田さん「今までは接着剤を付けて8時間以上かかっていたプレス工程が、約10数分で完成となります」 海外の最先端設備を導入し、作業時間は通常の50分の1に短縮。それによって集成材の大量生産が可能となり、会社設立以降、事業規模を拡大しています。ウッドコアで製造された集成材は、道の駅なみえなど県内外の施設に使われています。 さらに、福島の復興を世界に発信しようと、今回、大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の梁にも採用されました。 朝田さん「いいもの、いい製品を作れるようになったので、万博のリングもすばらしいものをこの工場から出荷できたと思っている」 故郷で林業を続けることが自分の使命だと話す朝田さん。福島の林業発展を目指し、これからもメイドイン浪江の木材を世界に届けていきます。 朝田さん「本当の日本一を目指して、従業員一同みんなと頑張って、本当の日本一になりたいと思う」 福島県などによりますと、双葉郡で木材に携わる事業所の数は、いまは震災前の半分ほどに留まっているということです。こうした中で、朝田さんは「引き続き、浪江町の雇用創出にも力を入れて、町の活性化に貢献したい」と話していました。
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