俳優・玄理、目標だった3カ国を拠点にした活動。日本と海外の違いに苦労も「私の居場所はここだけじゃないって思える」
亡き父と話しているような気持ちに
2024年1月には2本の連続ドラマ『院内警察』(フジテレビ系)と『Eye Love You』(TBS系)に出演。『院内警察』は、日本有数の大病院内に設置された「院内交番」を舞台に、元警視庁捜査一課の敏腕刑事・武良井治(桐谷健太)と天才外科医・榊原俊介(瀬戸康史)の“正義”がぶつかり合う様を描いたドラマ。 玄理さんは、外科医・上條萌子役を演じた。医師としてかなり優秀だが、同期に天才外科医・榊原がいるため、自分が主治医の患者でも難易度の高い手術はすべて彼に回されてしまう。 そんなときに特別室に暴言で炎上中の国会議員の岩井幸吉(ベンガル)が入院してくる。マスコミや世間の目をごまかすための入院だと思われていた岩井のからだの異変にただひとり上條が気づく。病院サイドは手術の執刀医を榊原にさせようとするが、岩井は病気を発見してくれた上條を執刀医に指名する。 「ゴッドハンドの榊原ではなく自分を選んで命を預けてくれたというのはうれしいですよね。横暴で傲慢な国会議員だと思われていた岩井が実は人間味あふれる優しい一面もあるということもわかって」 ――撮影中に涙が止まらなかったと聞きました。 「撮影のちょっと前の時期に私の父が亡くなったので、重なってしまって…。私が演じた上條は、家が貧しいのに自分が医学部に行きたいと言ったために父親が無理をして働いて死んでしまった。自分のせいで死なせてしまったという思いを抱えて生きてきた人なので、岩井幸吉(ベンガル)の『自分を責めちゃいかん』というセリフが心にしみて涙が止まらなくなってしまって。 ベンガルさんとのシーンを撮っているときに、父と話しているような気持ちになるときが何回かありました。いい現場でしたね。そういう意味でも俳優っていい仕事だなって思いました」 同じく1月から放送されたドラマ『Eye Love You』は、目が合った相手の心の声が聞こえる“テレパス”をもつ主人公・侑里(二階堂ふみ)と年下の韓国人男性テオ(チェ・ジョンヒョプ)の恋模様を描いたもの。玄理さんが演じた韓国人投資家ミン・ハナは、侑里と同じく目が合うと相手の心の声が聞こえてしまう能力をもっていて、過去の経験から自分の能力を呪っている。 「前に出させていただいた『アトムの童(こ)』(TBS系)の監督が呼んでくださったのですが、『アトムの童』から1年ぐらいしか空いてないので、また会えてうれしかったです。『何か年1で会えそうですね』みたいな話をしながら(笑)。 韓国語ができるスタッフさんも3、4人くらい入っていらっしゃいましたし、在日のバックグラウンドがある方、韓国から日本に来て仕事をしているスタッフさんも2人ぐらいいました。あと、ジョンヒョプさんのマネジャーさんと通訳さんという感じでした」 ――ジョンヒョプさんは韓国語でお話ができるので玄理さんがいてうれしかったでしょうね。 「日本語が多少話せるとは言っても、彼にとって日本語は外国語なので、そういう意味では話す相手もそうだし、周りで何を言っているかよくわからないというのはストレスになっていたりするかもしれませんね。 私も留学したときに『何を言っているんだろう?』というのが、最初の段階で結構あったので、そのストレスとか気持ち、心細さみたいなものを思い出しました。でも、ジョンヒョプさんは、本当にストイックというか、悩みながら一生懸命やっていたように見えたので偉いなあと思いました」