81歳母「あの子は大変なんだから!」ベンツにエルメス、贅沢三昧の長女が〈年間110万円の生前贈与〉を占有…。真実を知り、母が下した結論【相続診断士の探偵が解説】
毎年110万円までの贈与の範囲内であれば税金はかからないため、子どもや孫に生前贈与をしている人や検討している人も多いでしょう。しかし、生前贈与が一部の相続人にだけ行われていたことが後に発覚した場合、大きなトラブルに発展する可能性があります。MJリサーチ綜合探偵社の取締役であり、相続診断士でもある若梅秀孝氏が、実際に寄せられた依頼内容をもとに解説する本連載。48歳女性からの依頼内容から、実際のケースを詳しく見ていきましょう。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)> 2023.02.07
81歳の母親から聞いた衝撃の事実
今回の相談者は、木村さん(女性・48歳)です。 木村さんには子どもがいませんが、木村さんの51歳の姉と45歳の弟には、それぞれ2人の子どもがいます。ある日、木村さんは、81歳になる母親から遺言のことで相談したいと言われて、母親に会いに行きました。 「母は姉から、姉の希望通りの内容で公正証書遺言を作るようしつこく迫られて困っていました。母は、3人の子ども達になるべく公平な相続をしたいと思っているのに、姉はほとんど全ての遺産を独り占めする気だというのです」 母親の話によると、木村さんの姉は、母にたびたびお金の相談をしていたそうです。姉にせがまれて、母親が姉の2人の子どもたちに毎年110万円の生前贈与をしていたことも初めて聞きました。姉は、年間110万円の非課税枠を利用して、贈与税の課税を避けて生前贈与を受けていたのです。 「姉の2人の子どもたちに毎年110万円の生前贈与をしていると聞いて、びっくりしました。私には子どもがいないけれど、弟には2人の子どもがいるので、弟の子どもにも生前贈与をしているのかと聞いたところ、弟からは何も言われていないので、生前贈与をしていないというのです。不公平だと思いました」
母の遺産を独占しようとする姉の企み
木村さんの母親は、姉がたびたびお金の相談をしにくるので、姉がお金に困っていることを心配して「私が助けてあげないと」と考えていたようです。しかし、木村さんは姉がお金に困っているとは思えませんでした。 「姉は年に2、3回は海外旅行に行っているはずです。先月は、シンガポールの有名なホテルに宿泊したと自慢げに話していました。姉よりも弟の方が大変なはずなに……」 木村さんの弟さんの長女は重度のアトピー、次女は喘息の持病があり、治療費や入院費にお金がかかって大変だそうです。 「贅沢な暮らしをしている姉が母の遺産を独り占めすることを、母が本当に望んでいるはずがありません。でも、母に姉が贅沢な暮らしをしていることを伝えても、『そんなはずないじゃない! 美穂ちゃん(木村さんの姉)はいつもお金に困っていて私のところに助けを求めにくるのよ!』と反論されてしまいました」
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