「日本人の女性はなぜ自分を出さないの?」美と自己否定を高校生が写真作品で表現
宮下小雪さん(茨城・茗溪学園高校3年)の写真作品「規範美の囚われ者」を紹介します。ミステリアスな人物を3枚の写真を使ってとらえたこの作品は、全国高校総合文化祭(清流の国ぎふ総文2024)の写真部門で、文化庁長官賞(最優秀賞のうちの一つ)を受賞しました。どのように撮影したのか聞きました。(文・写真 椎木里咲)
「美にとらわれた女性」を表現
―とてもひきこまれる作品ですね。どんなテーマで撮影しましたか? 「個性」と「規範」に注目したく、一般的に認識されている「美の基準」にとらわれている女性の心理描写を表現しました。 私は以前アメリカとシンガポールに住んでいました。そこでは女性も自己表現を自由にしていましたが、日本に帰ってきたら、誰かに合わせたり「自分は美しくない」と自己否定をしたりする人が多いと感じます。例えば、インスタグラムも、海外は「自分」を前面に出しますが、日本人は顔を出さなかったり投稿すらしなかったりする人もいます。 ―宮下さんの経験や実感からテーマを決めたんですね。こだわったところは? ストーリーを作っているところです。1枚目は左の写真で、「規範の美」にとらわれている女性。花を武器に見立て、「殺されかけている」様子を表現しています。 2枚目は右の写真で、殺されかけてもなお「美」を自分のものにしようと、花をつまんでいます。 最後は真ん中で、「美」を取り込んだ結果、個性がなくなった女性です。顔についている真珠は涙に見立てています。
仲良しの友達がモデル、自宅でノリノリの撮影
―難しかったところは? 左右の写真は2枚の写真を1枚に重ねているのですが、どの写真を組み合わせればよいか迷いました。さらに小物をたくさん使っているので、ごちゃっと見えないように配置するのにはこだわりました。 ―撮影中、印象に残っているエピソードはありますか? モデルをしてくれたのはとても仲のいい友達で、お互い自己表現が好きで写真を撮り合う仲です。私の部屋で撮影したのですが、気持ちが乗ってとても楽しげな表情、悲しげな表情といろいろ撮れました。 最後の方はファッションモデルのようなポーズをしてくれたので、撮った写真に雑誌のタイトルをつけて遊んでいました。 ―上達するためのコツを教えてください。 私はテーマを決めてから撮影するので、たくさん撮るよりもまずは自分の頭で考え、構図を描いてから撮り始めます。あらかじめモデルも決めるので、「この人はどの角度が一番映えるんだろう?」と考えるなど、撮り始める前に準備をすることが多いです。
高校生新聞社