駅伝大会で交通事故 大けが乗り越えセンバツのベンチ入り 長崎日大
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)第4日の21日、龍谷大平安(京都)と対戦する長崎日大の中村浩聖(こうせい)選手(3年)は、中学時代に出場した駅伝大会で交通事故に遭い、一時は選手生命さえ危ぶまれた。それでもリハビリに取り組み、痛みに耐えながら復帰。大けがを乗り越えてつかんだ甲子園で全力プレーを誓う。 長崎県波佐見町出身の中村選手は、地元の中学野球部で全国大会に出場するなど活躍。しかし2年生だった2020年1月、町の地区対抗駅伝大会で後ろから走ってきた車にはねられ、左脚と胸、腰の骨を折る大けが。脚にプレートとボルトを入れる手術を受けた。1カ月の入院後も車椅子や松葉づえを手放せない暮らしが1カ月以上続いた。懸命のリハビリに励み、中学3年の夏には公式戦に出場。卒業前には脚のプレートとボルトを外した。 高校でも野球を続けるため、親元を離れて長崎日大に進学。脚は治りきっていなかったが、痛みに耐えながら周りの部員と同じ練習メニューをこなした。全力で動けるチームメートに「置いていかれるのでは」という焦りもあったが、家族や仲間に励まされながら地道に居残り練習を続けた。 1年生の時の12月、後遺障害の最終検査を受けた。結果は「異常なし」。けがへの不安が消え、ようやく思い切って練習できるようになった。長崎日大のOBで、社会人野球の東京ガスでも活躍した山内徹也部長(40)らの指導でパンチ力のある打撃に磨きをかけ、22年秋の県大会からベンチ入りメンバーに選ばれた。 センバツでの背番号は13。打席に立つ機会があればフルスイングして、支えてくれた家族や恩師、仲間に恩返しするつもりだ。【高橋広之】