ANAホテル40年の歴史に幕 人生の節々に心温まるサービス提供【宇部】
宇部市の観光、ビジネスの拠点として、また迎賓館的な役割も担ってきたANAクラウンプラザホテル宇部(久保政明総支配人)が31日、最後の営業を終え、40年にわたる歴史に終止符を打った。 同ホテルは1983(昭和58)年11月1日、市内で初の都市型ホテルとして開業。長く「宇部全日空ホテル」として親しまれ、2011年に現在の名称となった。市内最多の客室数(140室)を誇り、3階の国際会議場は大規模パーティーや学会の会場にも使用されてきた。 この日は午前11時までに最後の宿泊客がチェックアウトし、1階のレストラン「サルビア」は午後2時半に営業を終えた。2時以降は久保総支配人と同ホテルを運営するユービーイーホテルズの桜田隆社長が正面入り口で退店する客一組一組を見送った。 最後のランチを家族3人で楽しんだ宇部市の公務員男性(52)は「予約が取れると思っていなかったので本当に幸運だった。何度か利用していたので寂しい気持ちでいっぱい。きょうは一品一品を味わいながら過ごせ、思い出に残る食事になった」と話し、「子どもの頃に初めて見たホテルの15階からの景色は忘れられない。違った形で再び活用してもらいたい」と期待した。 2時半に、最後のお見送りが終わった後、勤務を終えた従業員約70人がロビーに集まった。桜田社長は「3月に入り、お客さまから人生の節々で、さまざまないい思い出ができたと多くのお礼の言葉を頂いた。皆さんの心温まるおもてなし、サービスがお客さまに届いていたのだと実感した」と、40年の長きにわたり脈々と素晴らしいサービスを提供してきたOBを含め全従業員に感謝の言葉を述べた。 入社して13年のうち婚礼部門を10年担当した上野理恵子さんは「営業終了は寂しいけれど、一組一組の婚礼に全力で取り組んできたので、やり切ったという思いもある。このホテルで得られたあらゆる経験を糧に、次の仕事でも頑張っていきたい」と前を向いた。 同ホテルの土地と建物の所有権は、広島市に本社を置くみどりホールディングス(杉川聡社長)が2月26日に取得している。現時点で再開時期は未定。