上白石萌歌、大学の映像学から感じた“映画の原点” クリエイターの才能に「眠っていてはもったいない」
――上白石さんは大学で映像学を学ばれていたそうですが、映画について学んだことで印象に残っていることがあれば教えてください。 学校では映像が生まれる前の写真の起源から学んだんですけど、まず写真が生まれたのも、人が見たものを記録に残したいという気持ちから始まっていて、今度はそれを動かしたいといって映像が生まれて、次はその映像に音がついていって……と、もっと見たい、聞きたい、知りたいという人間の“欲”が今の映画の原点にあるんだと感じました。 ――上白石さんの中にもその“欲”はありますか? もし映画製作に携わるとしたらやってみたいことがあれば。 一番興味があるのは美術です。空間を作る仕事にものすごく憧れがあって、登場人物のお部屋をつくったり小道具を用意したりしてみたいんです。 ――ご自身が役を演じるときに、そういったセットや小道具からインスピレーションを受けたり役が深まったりすることも多いですか? そうですね。「この人はこういうお部屋で過ごしているんだ」とか、「ピンクが好きなんだ」「こういうペンで文字を書くんだ」というディテールが分かると、そこから想像を膨らませられるので、美術のお仕事にはすごく興味がありますし尊敬しています。 ■映画の魅力は、映像と自分だけの世界に浸れるところ ――ドラマや舞台、歌など幅広くお仕事をされていますが、ご自身の中で「映画」というのはどんな位置づけになるんでしょうか。 テレビドラマの大きな違いとして、映画のお客様はお金を払って見に来てくださるというところがあるので、ちゃんと応えられるような作品づくりをしたいというのが一つと、私自身映画が大好きなので、私が救われているように誰かを自分の映画で救えたらいいなという気持ちは常にあります。
――「映画で救われる」というのは、上白石さんご自身はどんな部分で? まず映画館自体がすごく好きなんです。映画が始まる前の高揚感も好きだし、同じ作品を観にいろんな人が集ってきてるということもすごく素敵だと思っていて。 作品が始まったら映像の世界の中に没頭できて、すごく無になれる。日常で生きてて無になる瞬間ってあまりないじゃないですか。映画館では作品と自分だけの世界に浸れるので、そこにすごく救われます。 ――ちなみに映画館に行ったら必ずこれは買うとか、自分なりのルーティンはありますか? 良かったと思った作品のパンフレットはけっこう買うタイプです。フードを食べたり飲んだりはそんなにせず、じっくり見る感じですね。