中日・立浪監督、西武・松井監督 「PLで甲子園出場のスター」「天才打者」低迷チーム監督のいくつもの共通点
■采配が後手に回るケースが目立つ 就任3年目を迎えた立浪和義監督(54)も混戦のセ・リーグで正念場を迎えている。22年から就任して球団史上初の2年連続最下位と低迷。今年は開幕ダッシュに成功して一時は貯金6で首位に浮上したが、その後は下降線をたどり借金生活から抜け出せない。トレードを積極的に敢行し、チームを変革する強い意志が見えるが、3年連続で下位に沈むと来季の続投が厳しい状況となる。 名古屋のメディア関係者はこう話す。 「中日は大量得点を取れるわけではないので、接戦をモノにするためにはベンチワークが占める比重が高くなるが、選手の起用や作戦面での采配が、相手の後手に回るケースが目立ちます。立浪監督が敢行した『血の入れ替え』はチーム強化の方向性として決して間違っていないと思いますが、機動力を使わず攻守に緻密さが欠ける課題を解消できていない。これは日本ハムと対照的です。メンバーは決して他球団に見劣りしないので巻き返してほしいですが……」 ■二人とも球史に残るスター 立浪監督、松井監督は共通点が多い。共にPL学園で甲子園に出場。抜群の野球センスを武器に世代を代表する選手として名を轟かせ、プロ入団後も走攻守で球史に名を刻むスター選手として活躍した。 立浪監督は通算2480安打をマークし、487二塁打は歴代トップ。守備でもゴールデングラブ賞を5回受賞。遊撃手、二塁手、三塁手の3ポジションでの受賞は最多だ。 松井監督もスイッチヒッターでトリプルスリーを達成するなど日米通算2705安打を記録。最多安打、盗塁王のタイトルも獲得した。守備でも遊撃手としてゴールデングラブ賞を4回受賞している。 ただ、両人とも、監督としてはファンの期待に応える結果を出せていない。スポーツ紙デスクはこう指摘する。
■2人は共に天才型 「立浪監督、松井監督は共に天才型。もちろん努力も積み重ねてきましたが、常人ではできない打撃、守備を器用にこなしていた。これは現役時代だったら大きな武器ですが、指導者としては『なぜ選手たちはできないんだろう』と理解できないジレンマに陥りやすい。また、言語のチョイスが理論派というより感覚的に話すタイプなので、選手やメディアに意図がうまく伝わらなかったり、誤解されたりするケースがあります。自分の目指す野球を実現するためには、新井監督が絶大な信頼を置いている藤井彰人ヘッドコーチのように、選手との潤滑油になる有能な戦略家をつけた方がいいと思います」 松井監督は休養でチームを離れたが、立浪監督は戦いが続く。「名選手、名監督にあらず」という格言を覆せるか。 (今川秀悟)
今川秀悟