7年前、都心の一等地の土地売買を巡り巨額詐欺を働いた、いわゆる「地面師」による事件。 大手住宅メーカーがだまし取られた額は、実に約55億円にも及び、この事件をモチーフにしたドラマが2024年に発表され大ヒット。 今、改めて「地面師」の存在に大きな注目が集まっています。 FNNは、この事件の主犯格の1人だった実際の地面師について、逮捕前の豪遊ぶりや、その生の声を取材していました。 当時取材を担当したデスクが語る、その犯人像とは…。 フジテレビ社会部・知野雄介デスク: 地面師は詐欺師の中でも“プロ中のプロ”と言えると思います。 地面師とは、他人の所有地を自分たちのもののように成り済ましたうえで、第三者に購入させ、代金をだまし取る詐欺師のこと。 2017年の事件では、老舗旅館があった東京・五反田駅近くの土地を巡り、積水ハウスが地面師グループから虚偽の売買契約を結ばされ、約55億円をだまし取られました。 積水ハウスは、この事件の首謀者として逮捕され、現在も服役中の内田マイク受刑者、そして実行役リーダーのカミンスカス操受刑者らを相手取り損害賠償を求める訴えを起こし、東京地裁は27日、10億円の支払いを命じる判決を言い渡しました。 地面師事件では最大級の被害額とされる、この積水ハウス事件。 犯行グループはどのようなものだったのか。 当時、主犯格の1人カミンスカス受刑者の足取りを追っていた知野デスクは、こう指摘します。 フジテレビ社会部・知野雄介デスク: （地面師は）実は電話とかSNSを使った特殊詐欺と違って対面で行うもので“古典的な詐欺”なんです。ただ“舞台装置”が大きくて、劇団員のようにそれぞれのしっかり役割を演じきるということで、まさに“プロの集まり”ということ。しっかりとした大企業の人たちが、まさかだまされるわけがないと思っているところにつけ込むのが彼らの手口。 この事件では、実行部隊のリーダーでもあるカミンスカス受刑者が積水ハウスとの交渉役を担当。 他に、土地の所有者に成り済ます人物や、その人物を手配する者、なりすまし役の教育担当、さらには、交渉に必要な偽造書類などを手配する人物など、担当は細かく分かれていました。 首謀者の内田受刑者は交渉の現場には現れず、こうした計画の全体を指揮していたとされています。 この時、なりすまし役の人物確認の際に使われていた偽造パスポートについて、逮捕前のカミンスカス受刑者はこう述べていました。 “地面師”の1人・カミンスカス操受刑者（逮捕前）: パスポートを見せられた時に司法書士がホログラムをやった（調べた）のね。ちゃんと出たから大丈夫ですって。 大がかりな詐欺集団といえる地面師グループ。 そのリスクとリターンについては…。 フジテレビ社会部・知野雄介デスク: 捕まるリスクは高い犯罪。仮に捕まったとしても、その多額のだまし取ったカネを得られるのであれば、リスクを冒してでも行えばいい。今は海外、現地に溶け込みやすい東南アジアに逃亡してしまえばいい。 そのリターンの高さを物語る映像があります。 逮捕前、東京都内のフィリピンパブでホステスの女性と笑顔で顔を寄せ合うカミンスカス受刑者。 こうした場所に連日のように出入りしていたといいます。 そして、捜査の手が迫っていることを知るとフィリピンに逃亡。 首都・マニラや東南アジア有数の歓楽街として知られるアンヘレス周辺に潜伏したとされています。 その人物像については…。 フジテレビ社会部・知野雄介デスク: パブで豪遊する姿というのが目撃されていますし、映像を見ても本当に巧みに嘘をついているなという印象。捕まる覚悟もあっての犯罪ということだと思います。 こうした地面師による犯罪は、いわゆる“バブル景気”の時代に多く発生した後、一時沈静化の動きを見せていました。 しかし近年になり、各地に空き家が増加する一方、都心部の地価が上昇していることから、再び地面師犯罪が活発する恐れがあるといいます。 フジテレビ社会部・知野雄介デスク: だまし取った金を取り返せるかというと、そうでもない現実がある。まずはだまされないようにすることが、どうしても必要になってくる。