本革でオラオラいうな! 布シートのほうが快適? 本革シートはマジでそこまでエライのか!?
高級車のシートはたいてい本革だ。本革は「高いクルマに乗ってるなー」という満足感があるが、はたしていいことばかりなのだろうか。「1周まわってやっぱ布シートがいい」ってことはないものなのかねえ? 【画像ギャラリー】実によき!CX-80のゴージャスなインテリアはこれ!(14枚) 文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock、ロールスロイス、ベストカーWeb編集部
■革シートは使用人のための椅子だった!?
歴史をさかのぼって馬車時代、身分の高い人は布シートに座った。馬車のオーナーやゲストが座る客室内は雨の心配がないから、ぜいたくな毛織物などが素材に使われたのだ。 いっぽう客室の外で馬を操る御者は革シートに座った。雨が降ればびしょ濡れになるから、水に強い革が選ばれたというわけ。 この価値観はクルマにも引き継がれる。屋根が開くオープンカーは革シートを使うことが多かったし、高級車、たとえばトヨタ センチュリーなどは、その歴史の大半でウールファブリックこそがぜいたくという考え方だった。 この考えが逆転し始めるのは、第2次大戦以降だろうか。石油から圧倒的に安くて丈夫な化学繊維が作られるいっぽう、素材やなめし技術の進化などによって、布のようにしなやかな革が手に入るようになった。その結果、「布=普及品」「皮=高級品」という図式が出来上がったのだ。
■高級感以外にも革シートにはメリットが
というわけで、いまやアル/ヴェルもランクルも本革シートこそが高級の証というわけだが、高級感以外にも本革のメリットはある。 冒頭から述べている耐水性はやはりその最大の要素だろう。飲み物をこぼしたとき、拭くだけできれいになる点は実にありがたい。ちなみにLCCなどの飛行機のシートは本革が多いが、これも掃除が簡単にできるということが理由だ。 もう一つは、ホコリやばい菌などを吸いにくいという点。とりわけアトピーやぜんそくなどに悩む人たちは、これが本革シートを積極的に選ぶ理由ともなるはずだ。 「革シートは蒸れる」という声も多いが、最近はパンチング(穴あき)レザー+ベンチレーションという仕組みで、この欠点を解消する動きもみられる。筆者も経験したことがあるが、短パンを履いていても膝裏に汗をかかず、実に心地よかった。