「H3」3号機打ち上げ成功、JAXAマネジャー「我が子の産声を聞いて安堵」…初号機失敗から再起
日本の宇宙開発の命運を握る大型主力ロケット「H3」の3号機が、本格運用に向けて大きなステップを踏み出した。今年2月の2号機に続く成功を果たし、関係者は「ホッとしました」と声をそろえる。 【写真】種子島宇宙センターから打ち上げられた「H3」3号機を見守る人たち(南種子町の長谷公園で)
「H3を立て直す。その約束が果たせたかな」。1日午後、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで記者会見した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有田誠・プロジェクトマネージャは安堵の表情を見せた。
脳裏には昨年3月の失敗があった。初号機の第2段エンジンが着火せず、搭載した政府の地球観測衛星「だいち3号」を失った。有田さんは失敗の当日、関係者に謝罪し、再起を誓ったという。今回搭載した「だいち4号」は同じシリーズにあたり、有田さんは「ほぼ完璧な成功で目的を達成できた」と満足そうに語った。
一方で、だいち4号の運用も始まったばかりで、衛星開発を率いるJAXAの有川善久プロジェクトマネージャは「我が子の産声を聞いて安堵している。衛星はまだ生まれたばかり。最初の運用に取り組んでいきたい」と気を引き締めた。
発射場周辺では、多くのファンが打ち上げの様子を見守った。発射場から約6キロ離れた長谷公園には約1000人が詰めかけた。
宇宙飛行士を目指しているという、広島市の広島なぎさ中2年の生徒(14)は「無事に飛ぶ様子を生で見られてよかった」と話した。福岡市の九州大大学院1年の院生(22)は「(だいち4号によって)火山活動などの観測精度が上がる。今後の減災に生かしてほしい」と語った。