年金は何歳から受け取るのがおすすめ?平均年収を想定して「60歳・65歳・70歳」で比較
年金の受取時期はいつにすべきか、悩んでいませんか? 年金は受取時期によって、生涯で受け取ることのできる金額が変わります。そこで、平均的な年収で働きつづけたと仮定し、年金の受取について考えてみます。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
受取時期によって、年金の受取額が変わるのはなぜ?
受取時期によって、年金の受取額が変わるのには二つの理由があります。 一つ目は「年金は受け取る年齢によって、支給額が増減する」という点です。原則、年金は65歳から受け取ることができます。そのため、65歳から受け取りを開始すれば、年金の受給額は減りも増えもしません。 しかし、65歳よりも早く受け取ると、支給される1月当たりの年金額は減少します。最速で60歳から受け取ることができますが、日本年金機構「年金の繰上げ受給」「年金の繰下げ受給」によると、1月早めるごとに年金は0.4%、最大で24%減額されます。逆に65歳よりも遅く受け取ると、年金額は1月当たり0.7%、最大84%増加することが分かります。 二つ目が「年金は生きている間だけ受け取れる」という点です。例えば、84歳まで生きた方が60歳から年金を受け取っていれば、24年間受け取ったことになりますが、70歳から受け取ることにしていれば14年しか受け取れなかった、という具合です。
60歳・65歳・70歳、それぞれ受け取り時期による違いは?
厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、令和4年度末の厚生年金の受給者の平均年金月額はおよそ14万5000円です。厚生年金の受給額はおおむね年収に比例するため、時代に応じた平均的な年収で働いてきた方が受け取れる年金額を1月当たり14万5000円としましょう。 その上で、60歳、65歳、70歳で受け取ったときの生涯の年金受取額をそれぞれ見ていきます。なお、何歳まで生きるのかという点については、厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」を基に男女の平均寿命の中間点の84歳とします。 まず1月当たりの額ですが、60歳から年金を受け取る場合、24%減額された11万200円になります。それに対して、65歳から受け取る場合は14万5000円のままです。そして、70歳から受け取る場合は、42%増額された20万5900円になります。 すると、70歳から受け取った場合、受取期間は14年と短いものの、1月当たりの支給額は最も高くなり、受け取る年金の総額も最も大きくなります。逆に、1月当たりの支給額が最も小さくなる60歳から受け取った場合は、受け取れる年金の総額も最も少なくなります。特に両者の差は300万円近く開いており、無視することができません。 表1