舛添知事「ホテル会議」疑惑 面談社長の説明めぐり迷走
「調査したのは私ではありません」「それは弁護士に聞いてください」――。政治資金の私的流用疑惑をめぐり都民や都議会から批判を浴びる東京都の舛添要一知事。10日に開かれた定例会見では、千葉県のリゾートホテルでの面談相手に関する調査報告書のずさんさを追及されると、自らが依頼した弁護士2人に責任を預けるかのような発言を繰り返した。その場しのぎの矛盾するような内容の回答も口にし、自らの疑惑に正面から向き合う姿勢は見られなかった。 【中継録画】舛添都知事が会見 「ホテル会議」疑惑など質疑
調査結果は「信頼性あると思っている」
「知事の記憶をもとにした調査結果に信頼性はあるのか」「報告書は知事の説明をうのみにしただけではないのか」 2013、14年の千葉・木更津市のリゾートホテルを舞台にした知事と出版社長との「面談疑惑」に絡むこうした問いに、知事は「私にそれを問われても答えられません」「調査したのは私ではありません」と他人事のように答えた上で、「私は信頼性はあると思っています」と強弁した。 報告書の問題点として指摘されているのは、この社長本人にはヒアリングできないまま、知事の説明と社長の「周囲の方」からの聞き取りなどによって「事実認定」したことだ。知事が社長の氏名を明かさないことから、都議会でも面談や社長の存在自体を疑問視している。 焦点となる出版社社長をめぐって、この日の知事の発言は迷走した。 当初は氏名を公表できない理由として、「相手のある話で長い付き合いですから。いろんな相談をしているんですが、(名を明かさないのは)私の配慮というより相手のことです」と述べていた。 ところが会見の中盤では「(社長とは)この一か月くらいお話はしていません」という内容に変わり、突っ込まれると「そこは細かい事情があるので、関係の方々を通じてお話をしております」と言葉を濁した。 「(ヒアリングに応じられないのは)社長がいま忙しいからか。それとも亡くなっているのか」という質問には、「そういうことも含めて相手方があるので差し控えたい」と回答を避けた。 「2年続けて正月に重要な相談をする間柄の出版社社長なる人物がなぜ、政治資金から支出した会食65件の中に一度も出てこないのか」 社長の存在に懐疑的なそうした内容の質問もぶつけられた。だが、知事はここでも「出てると思いますよ。マスコミ関係者か何か表記は分かりませんけれど」「どういう表記になっているかは報告書を作った弁護士さんに聞いてください」と説明責任を放棄するかのような発言に終始した。 一方、知事は続投の意思だけは明確に示し、13日の総務委員会の集中審議に向けて「反省すべきは反省し、私の言葉できちんと真摯にお答えしたい」と述べた。 (フリー記者・本間誠也)