スゲ細工体験をする県立看護大の学生＝１０月１日、妙高市下平丸の深山の里

　新潟県妙高市平丸地区に伝わるスゲ細工を継承してきたNPO法人「平丸スゲ細工保存会」が10月、解散した。NPO理事長の柴野美佐代さん（62）=上越市=は「長い間支えてくださった会員の皆さんやお客さまに感謝している」と話している。 【写真】平丸スゲ細工保存会が手作りしてきた作品 　平丸地区のスゲ細工作りは農閑期の仕事として昭和30年代に始まった。最盛期には約200人の作り手がいたが、過疎や高齢化で次第に減少。伝統を受け継ぐため2015年、柴野さんを中心にして保存会が発足した。 　保存会は干支のスゲ細工の制作と販売のほか、体験講習会を開いて普及に努めた。スゲ細工作りの中心は柴野さんと青野尚登さん（43）=上越市=の2人。手伝いのスタッフ数人が加わり、スゲの刈り取りから制作までを行ってきた。干支の場合、1体を作るのに3日ほどかかる。縁起物として全国から注文が入るほどの人気で、一つ一つ手作りで制作してきた。 　しかし、数年前からメンバーの家庭の事情などの問題が重なり、これまで通りの活動が難しくなった。資金難もあり、解散することに決めた。 　今後は個人としてスゲ細工の制作を続けていく。柴野さんは「作り手がほとんど引退した状況から約10年走り続けた。これからは新しい形での活動と継承の仕方を考えたい」と語る。