お花みたい!福岡市・六本松「和達」のA5ランク和牛肉ケーキが話題
これがお肉――!? 花が並んでいるように見える「肉ケーキ」を、福岡市にオープンして間もない精肉店「和達(わだつ)」が販売し、注目されています。美容サロンを経営する代表らが「町のお肉屋さん」にあえて挑戦し、その意外な経歴から生み出されたユニークな商品です。畜産王国・九州の肉の魅力を全国に向けて発信しています。 【写真】肉ケーキと和達の店内
全国から注文相次ぐ
「感動やワクワクを届けて、多くの人に喜んでほしい」。そんな思いで店を切り盛りするのは、和田達行さん(42)、あみいさん(40)夫妻です。 2021年5月29日、中央区六本松に開業した店は、白い外壁に大きな窓と趣ある扉を備えたモダンな外観。「馬刺し」ののぼりがなければ、カフェのようにも見えます。 「オープン当初は花屋さんやケーキ店、美容室と間違えて来店したお客さまもいました」とあみいさんは笑顔を見せます。 店自慢の「肉ケーキ」は、A5等級の九州産牛肉や豚肉を丁寧にスライスし、バラの花のように盛り付けていきます。ホームページでは現在、一番人気の「ボヌール」(750グラム、税込み1万7280円)など8品を紹介しています。 1万~2万円台ながら、北海道から沖縄まで全国から注文が相次いでいるとのこと。あみいさんは「(写真などに)映えるので喜ばれ、そのうれしい体験がリピーターなど注文の広がりにつながっているようです」と話します。
美容サロンの経験で
2人は宮崎県延岡市出身で、あみいさんはアイデザイナー(美容師)、達行さんはそのサロンの経営と、まったく畑違いの美容業界に身を置いていました。まつげエクステンションなどを手がける美容サロン「Bonheur(ボヌール)」を福岡市内で2009年から運営し、現在も中央区白金で営業しています。 サロン利用者と接する中で、あみいさんは「美容に関心が高い人は、食べ物にもかなり気をつかっている」と感じていたといいます。一方の達行さんは、利用者が限定されるサロンとはべつに「より多くの人を喜ばせることをできないだろうか」と考えてきたそうです。 「魅(み)せるお肉」ならば、若者を含む幅広い人たちに受け入れられるはず――。そんな思いから2020年秋頃、達行さんは「精肉店を開きたい」と切り出しました。 あみいさんは「そんなに甘くない」と難色を示し、取引銀行にも反対されました。しかし、知人のつてを頼って精肉店に“弟子入り”し、準備を進める達行さんの熱意にあみいさんも押され、銀行を説得して開業にこぎつけました。 「従来のお肉屋さんのイメージとは一線を画したい」と、店内のデザインにこだわりました。スタイリッシュな印象を与えるステンレス製のショーケースを特注し、衛生面にも気を配り、臭いが苦手な人も来店しやすいように加工スペースは壁やドアでしっかりと仕切りました。 肉ケーキも達行さんの発案です。「花はきれい。プレゼントされて、うれしくない人はいない」。自身の友人らに贈っても喜ばれるという自慢の品で、友人同士のパーティーや誕生祝い、就職祝いなどのギフト需要も好調といいます。