国が初等中等教育での生成AI利用に関する検討会議を立ち上げ
文部科学省が2023年7月に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を策定してから1年がたった。学校ではリーディングDXスクール事業における「生成AIパイロット校」が選定され、昨年度に引き続き2024年度も66校が授業や校務で生成AIの活用に取り組んでいる。同省は2024年7月12日に開いたデジタル学習基盤特別委員会において、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議」の設置を決めた。同会議における検討事項は下記の通り。7月25日に第1回の会議が開催された。 図版をもっと見る (1)学校現場における生成AIの利活用の在り方について (2)児童生徒が学びに生成AIを活用する際(教育利用)の考え方や留意点について (3)教員が校務において生成AIを活用する際(校務利用)の留意点や利活用に向けた方策について
生成AIに肯定的な保護者が増加
こうした中、ベネッセコーポレーションは2024年7月17日、全国の小学生とその保護者を対象に、生成AIの利用経験や今後の利用意向について調査した結果を発表した。 調査では、認知率と利用率は1年前の調査からほとんど変わっていない。その一方で、生成AIの利用に肯定的な保護者の割合は10ポイント上がった。同社は「ニュースで生成AIのさまざまな活用事例を目にしたり、保護者自身が実際に生成AIを使ってみたりした結果ではないか」としている。小学生の利用率が低いのは、生成AIのサービスによって年齢制限があることに加え、小中高等学校における児童・生徒の生成AI利用には、先述のガイドラインによる制限があるためと考えられれる。 子供が生成AIを利用することに対する保護者の意見を見ると66%が肯定的で、「使ってほしくない」という否定派は24%と少ない。肯定的な保護者にその理由を尋ねると、「新しい技術の活用力を養うよい機会になりそうだから」が35%で最も多かった。否定的な保護者の意見は「自分で考えなくなりそうだから」が約半数を占めるが、逆に肯定派の13%は「自分で考える力が伸びそうだから」と、正反対の理由を挙げている。 生成AIを知っている子供(233人)のうち、「たくさん使いたい」と「少し使ってみたい」と答えた割合は88%と非常に高い。どのようなときに使いたいかという問い対しては、子供と保護者で差が見られた。
文:江口 悦弘=日経パソコン