〈ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024〉、日本劇場初公開の「エフィ・ブリースト」など3本上映
特集上映〈ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024〉が、8月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次開催される。上映作は「エフィ・ブリースト」(1974/日本劇場初公開)、「自由の暴力」(1974/「自由の代償」より改題)、「リリー・マルレーン」(1980)。デジタルリマスターで甦った3本を、スクリーンで堪能したい。
「エフィ・ブリースト デジタルリマスター版」※日本劇場初公開
原題:Fontane Effi Briest 脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影:ディートリッヒ・ローマン、ユルゲン・ユルゲス 出演:ハンナ・シグラ、ウォルフガング・シェンク、カールハインツ・ベーム、ウリ・ロンメル ©︎Rainer Werner Fassbinder Foundation 1974年/西ドイツ/140分/モノクロ ブリースト家の娘であるエフィは20歳も上のインシュテッテン男爵と結婚。だが自分を躾けようとする男爵に違和感を覚え、男爵の友人である若く魅力的なクランパス少佐と浮気してしまう。数年後にそれを知った男爵は、クランパスに決闘を申し込むが……。19世紀ドイツの作家テオドール・フォンターネの小説の映画化であり、ファスビンダーにとっては後年の「ベルリン・アレクサンダー広場」と並ぶ重要な《文学映画》。家父長制社会で破滅していく女性の姿にファスビンダーの共感が込められ、彼の永遠のテーマである「社会への違和感」「夫婦、恋人間での躾や抑圧」が強く表れている。
「自由の暴力 デジタルリマスター版」
原題:Faustrecht der Freiheit 脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クリスチャン・ホホフ 撮影:ミヒャエル・バルハウス 音楽:ペール・ラーベン 出演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ペーター・カテル、カールハインツ・ベーム ©︎Rainer Werner Fassbinder Foundation 1974年/西ドイツ/123分/カラー 身寄りはアル中の姉しかいない大道芸人フランツ・ビーバーコップ。宝くじに当たったのをきっかけに、ブルジョワのゲイのサークルに入り込み、ハンサムなオイゲンに恋をする。そして有頂天になって貢ぐが、ブルジョワのオイゲンと孤児のフランツとでは、趣味も会話も何もかも相容れなかった……。資本家を愛したばかりに周囲に搾取され、塵のように散っていくフランツをファスビンダー自身が熱演。愛の名のもとに展開する哀しく痛ましい力関係、そして資本主義社会の冷酷さを苛烈に暴き出す。