発売60周年! 広島・冬の名物駅弁「しゃもじかきめし」が生まれた理由
―「しゃもじかきめし」は、いまでもユニークな器ですよね? 中島:しゃもじ型容器のアイデアは、当時の調理課長が率先して社員みんなで考えたと言います。「かきめし」を、広島の名物にしたかったんです。そこで、宮島土産の「しゃもじ」をイメージして開運を呼び込もうと、「しゃもじかきめし」が生まれました。そのユニークさは高く評価されて、広島県知事からも表彰を受けたことがあります。昔もいまも広島の牡蠣を使っていますので、販売は旬の冬季に限定しています。2023年で発売60年を迎えるロングセラーとなりました。 (☆駅弁膝栗毛・2022年5月20日分から引用・ここまで)
【おしながき】 ・かき飯 錦糸玉子 青海苔 ・牡蠣煮 ・牡蠣煮柚子味噌和え ・カキフライ ソース ・大根生酢 ・じゃこ煮 ・広島菜漬 ・ガリ
開運をもたらす縁起物とされる「厳島神社」の宮島杓子を模った赤い容器に詰められた牡蠣飯には牡蠣煮が4つ載り、錦糸玉子や青海苔で華やかに彩られて、気持ちがアガります。これにかきフライや牡蠣の柚子味噌和えも入って、広島が誇る牡蠣をいろいろな味で楽しむことができます。ユニークな容器はもちろん、冬季限定という形で60年の歴史を刻んできたという点も特異な駅弁。次の時代へつなぎたい、広島の名物駅弁の1つです。
「しゃもじかきめし」が誕生した昭和38(1963)年は、新幹線はまだ無く、山陽本線も広島までの電化が完成したばかり。呉線ではその後もしばらくの間、蒸気機関車が牽引する列車が活躍したことから、多くのSLファンが詰めかけたといいます。いまでは新幹線が、九州・鹿児島までつながり、多くの列車が行き交っています。そんな歴史に思いを馳せて、「しゃもじかきめし」をいただけば、より一層、美味しく味わえることでしょう。
ライター望月の駅弁膝栗毛 「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介! 著者:望月崇史昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。 駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/