中国の農家はクコの実を禁止された化学薬品に浸し、硫黄で燻製している…国営メディアが放送(海外)
中国のクコの実農家が、作物を保存するために工業用硫黄を使っていたことが発覚した。 中国の国営メディアは、作業員が濃い泡状の化学薬品でクコの実を洗う映像も放映した。 業者や労働者たちは放送局に対し、クコの実が安全でないことは知りつつも、見た目が良くなると語っている。 中国の国営テレビ局である中国中央電視台(CCTV)は、中国を揺るがす2024年で2つ目の大規模な食品スキャンダルの詳細を報道した。今回は、クコの実を燻製して禁止されている化学薬品に漬け込む様子が放送された。 2024年9月1日に放映された映像では、甘粛省靖遠県の14の町にまたがる地域のクコの実農家や業者に話を聞いたという。このレポートでは青海省ゴルムド市の農場の様子も取材している。 少なくとも6人の農場労働者と販売業者が、業界で禁止されている物質であるメタ重亜硫酸ナトリウム(ピロ亜硫酸ナトリウム)にクコの実を浸したり、見た目を保つために工業用硫黄を吹き付ける様子を見せ、公然とカメラの前でそれを説明していた。 ある業者は「硫黄で燻したものは赤くてきれいになる」とCCTVに語った。 「硫黄を使うと、より長く保存ができ、害虫もつかない。毒性は高いが」 CCTVは、クコの実を洗浄する前に労働者たちが濃厚に泡立てたメタ重亜硫酸ナトリウムの桶を準備している様子を放映した。メタ重亜硫酸ナトリウムは食品の保存に使用されることもあるが、地元ゴルムドのクコの実の業界では禁止されていると中国共産党中央宣伝部の英字日刊紙、 チャイナデイリー(China Daily)は報じている。 CCTVが公開した映像では、一部の農場で作物を天日干しする代わりに工業用硫黄でクコの実を燻製にしているところもあった。 クコの実はゴジベリーとも呼ばれ、中国の伝統医学や火鍋(鍋料理)などの料理で人気があり、欧米ではスーパーフードとして販売されている。2023年には中国本土から推定1万4000トンのクコの実が輸出された。 「あなたのように他の場所で買う人々はみんな何も分かっていない」と、ある業者はCCTVに言った。 「見た目がいいだけだ」 業者や農民の多くは、化学薬品に汚染されたクコの実を食べることの害についても語っていたが、その習慣は一般的になっているという。 「硫黄を使って燻製すると、500グラム17元(約347円)から18元(約367円)で売れる。燻製しないと10元(約204円)か9元(約183円)だ」と、ある農民は語っている。 CCTVによると、スタッフがクコの実を検査したところ、すべて食用には危険なものだったという。 このレポートが放送された翌日、靖遠県の食品安全委員会(Food Safety Committee)事務局は、地元のクコの実の生産と販売について調査を開始したと発表した。 同事務局は声明で、「法律や規則に違反した者は法律に従って厳罰に処される」と述べている。 ゴルムド市も2024年9月2日に同様の声明を発表した。 今回のクコの実のスキャンダルは、国中を驚かせた別の食品安全に関する大事件のわずか2カ月後に起こった。 2024年7月初旬、国営タブロイド紙の新京報(The Beijing News)は、食用油の輸送に洗浄されていない化学薬品用タンカーが使用されている複数の事例を発見したと報じた。この慣行は一般的になっており、労働者はそのことを業界の標準だと話していたという。 中国は何十年もの間、汚染された粉ミルクや、下水溝の汚水から採取された食用油がレストランで使われるなどの食品スキャンダルに悩まされており、市販の食品に対する国内消費者の信頼が失われている。
Matthew Loh