不起訴から一転…知人殺害の男に懲役7年の実刑判決 金属バットで複数回殴る 異例の経過をたどった裁判=静岡
2021年、静岡県富士市で金属バットで知人を複数回殴り、殺害した罪に問われた男の裁判員裁判で地裁沼津支部は懲役7年の判決を言い渡しました。一度、不起訴処分となった男は検察審査会の議決を受けて一転、起訴され、実刑判決となりました。 【写真を見る】不起訴から一転…知人殺害の男に懲役7年の実刑判決 金属バットで複数回殴る 異例の経過をたどった裁判=静岡 判決を受けたのは無職の男(40)です。判決によりますと、男は2021年5月、富士市内の自宅で当時37歳の知人男性の頭などを金属バットで殴り、殺害しました。 犯行時、覚醒剤を使用していた男について、責任能力の有無が争点となった裁判。 6月25日、地裁沼津支部で行われた判決公判で野澤晃一裁判長は男について責任能力が残っていたと認定した上で、「強固な殺意に基づく危険で残忍な犯行である」として、懲役9年の求刑に対し、懲役7年の判決を言い渡しました。 男は一度、不起訴処分となりましたが、遺族が検察審査会に申し立てたことがきっかけに一転、起訴されて実刑判決となりました。 弁護側は「被告人の主張が認められなかったのは非常に残念」とし、控訴については今後、検討するとしています。 殺人容疑で逮捕された男が一度は不起訴になったものの、検察審査会の議決から一転して起訴され、実刑判決を受けるという異例の経過をたどった今回の裁判。 元検事の大澤孝征弁護士は、検察審査会と裁判員裁判を経た市民感覚が強く反映された結果について、検察の9年の求刑に対して7年の実刑の判断がなされたということは、当初から起訴するべき事件だったと指摘。 その上で「前例としてそういうことがあり得るということが今後の検察官の判断に大きく影響することは間違いない」と今回の裁判を評価しました。
静岡放送