熊本市電の運賃値上げ、委員ら懸念の声 2025年6月に一律200円、市交通局が市議会特別委に示す
熊本市交通局は10月31日、市電の運賃を来年6月に値上げし、現行の一律180円を200円に改定する方針を市議会特別委員会に示した。委員からは「公共交通の利用促進に逆行する」との懸念の声が上がった。 値上げは乗務員の処遇改善や物価高騰に対応し、経営基盤安定化の財源とする狙い。小児運賃も90円から100円に上げる。市交通局は増収分を年間約1億6300万円と試算し、乗務員への新たな手当や新車両の導入、レール更新などの費用に充てると説明した。 8~9月に実施した利用者らへのアンケートで「値上げはやむを得ない」との回答が7割を占めたとする結果も報告。「200円になることで両替の減少も見込まれスムーズな降車につながる」と理解を求めた。 委員からは「安価な方が利用者は増える。値上げをせず市が投資するべきだ」「バス料金との差も考える必要がある」といった意見が出た。井芹和哉・交通事業管理者は「定時性や速達性、快適性といった市電の機能を高めていくには乗務員の労働環境も含めた対応が必要だ」と強調した。
市は本年度内に運賃改定の条例改正案を市議会に提出する方針。(臼杵大介)