センバツ甲子園 明豊に春切符 3年ぶり「歴史変えたい」 /大分
夕暮れのグラウンドに、選手が投げた青の野球帽が舞った――。第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会が26日あり、明豊(別府市)の3年ぶり6回目の出場が決まった。前回出場の2021年は準優勝だったが、選手はそれを超えて新たな歴史を作ろうと、今大会での活躍を誓った。組み合わせ抽選会は3月8日にあり、大会は同18日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【神山恵、石井尚】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち ◇気持ち新た、練習再開 明豊のセンバツ出場が決まったのは午後4時15分ごろ。スマートフォンで選考結果の発表を確認していた川崎絢平監督は、決定後も表情を変えずに練習を見守り、県高野連の関係者からお祝いの電話が入ると「ありがとうございます」などと応じた。 選考理由には、九州地区大会での高いチーム打率や機動力の他、特長である「キビキビ、はつらつとした動き」も挙がった。 川崎監督は、ベンチ前に集合した選手に吉報を伝えると「お世話になった人に感謝する日にしてほしい」と訴えた。 3年前のセンバツでは、準優勝と好成績を収めた。その際のチームについて「冬に成長して決勝まで行った」と当時の状況を振り返り、「(今大会は)チームとして歴史を変えよう、明豊をもう1ランク上に押し上げようという気持ちでやってほしい」とチームの成長に期待を込めた。 真剣な表情で聴き入っていた選手に、最後は「良い準備をして勝ちにいこう」と力強く呼び掛け、気持ちも新たに大会に向けた練習を再開した。 1年時からレギュラーとして出場し、春夏合わせて3度目の甲子園となる高木真心(しん)選手(2年)は「うれしい気持ちでいっぱい。これまでは先輩に励ましてもらってきた。試合を楽しみたい」と意気込みを語った。 九州地区大会で、エースナンバーの1番を背負った野田皇志投手(同)は、21年の準優勝メンバーに小中学校時代の先輩がおり、試合をテレビで観戦していたという。「先輩のかっこ良い姿を見た。自分も活躍して明豊の歴史を変えたい」と闘志を燃やした。 守備の要で、主将を務める山内真南斗捕手(同)は「たくさんの方に恩返しをしないといけない。優勝を目指して頑張る」と抱負を語った。 ◇チーム紹介 攻守優れ、高い総合力 攻守のバランスに優れ、高い総合力で九州地区大会を決勝まで勝ち上がった。 打線は、同大会4試合でともに出塁率が4割を超えた1番・木村留偉選手(2年)と2番・高木真心(しん)選手(同)が好機を演出する。準々決勝と準決勝では、2人だけで先制点を挙げるなど、打力と機動力を兼ね備えており、両選手の活躍が試合のカギを握る。 主軸を担う3番・石田智能選手(同)は安定的に出塁しており、準決勝で本塁打を放った4番・的場航輝選手(同)は長打力を誇る。4試合の打率が4割超の6番・芦内澄空(そら)選手(同)らも控えており、打線に隙(すき)は見当たらない。 投手陣は、左右に力のある選手がそろった。同大会では、最速142キロの直球が光る主戦・野田皇志投手(同)と、変化球主体の一ノ瀬翔舞投手(同)の両右腕と、左腕の大堀羚斗投手(1年)、寺本悠真投手(同)の4人の継投で勝利を重ねた。ただ、川崎絢平監督はセンバツに向け「4人ありきではない」と語っており、厳しい競争で投手力のさらなる底上げを図る。 守備の要は主将も務める山内真南斗捕手(2年)。4試合で計1失策と手堅くまとめた。 センバツ出場は準優勝した2021年大会以来。その活躍に憧れて入部した選手も多く、当時あと一歩まで迫った頂点を目指す。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇九州地区大会県予選◇ 2回戦 10―0 高田 (六回コールド) 3回戦 5―0 大分東明 準々決勝 9―0 国東 (七回コールド) 準決勝 7―3 佐伯鶴城 決勝 6―2 大分舞鶴 ◇九州地区大会◇ 1回戦 8―7 海星 準々決勝 10―1 唐津商 (七回コールド) 準決勝 5―1 東海大福岡 決勝 1―5 熊本国府 ……………………………………………………………………………………………………… ◇学校プロフィル OBにSB・今宮選手 別府大の付属中高一貫校として、1999年創設。普通科と看護科があり、普通科は国公立や難関私大を目指す特別進学、スポーツの競技力強化と大学進学を目指す体育専攻など3コースがある。生徒数は500人(1日現在)。 多くの運動部が全国大会に出場しており、2023年夏の高校総体では、男子卓球部がダブルスと団体で準優勝、女子剣道部が個人と団体で準優勝した。女子ソフトテニス部や女子バスケットボール部、男子弓道部なども全国大会への出場経験がある。 卒業生には、野球部OBでプロ野球・福岡ソフトバンクホークスの今宮健太選手の他、23年パラ陸上世界選手権の走り幅跳び3位の中西麻耶さんらがいる。 校歌は、県出身のシンガー・ソングライター、南こうせつさんの作曲で知られる。