「止まらないですね」西部ガスのルーキー〝打率10割の9番打者〟7打席連続安打 チーム初の8強進出もたらす【社会人野球日本選手権】
◆社会人野球日本選手権2回戦・西部ガス7―3TDK(4日、京セラドーム大阪) 5大会連続6度目出場の西部ガス(九州・福岡)は、福岡大出身のルーキー9番打者・園田恵大外野手(23)が4回1死満塁から中越えの3点三塁打を放つなど、本塁打が出ていればサイクルという4安打3打点。1回戦の3安打を含め、今大会7打席連続安打を継続中で、打率は驚異の「10割」をマークする大活躍ぶりもあって、TDK(東北・秋田)を下し、同大会でチーム初のベスト8進出を果たした。 ■本家応援団を上回る動き「くまモンが一番キレキレ!」【動画】 「止まらないですね。3の3、4の4ですか? 持ってますね。足が速い選手ですが、正直ここまで打つとは思っていなかったです。四球とか、何とか塁に出てくれて、上位につないでくれたらいいと思っている中で、予想とか期待を上回る活躍をしてくれているなと思いますね」 松薗史敏監督(35)も驚きを隠せなかったのが、9番・園田の〝止まらない打棒〟だ。10月31日の1回戦・JR東日本戦は、3回の第1打席にまず送りバントを成功させると、続く3打席では中前打、右前打、右中間三塁打。2回戦のこの日は、3回の第1打席でボテボテの投ゴロながら、50メートル6秒1の俊足を生かして内野安打に。2点目を挙げた直後の4回1死満塁では「チャンスでのファーストストライク。初球に対して、思い切り入っていこうと。いける、と思って振りました」と外角高め、ボール気味の140キロ直球を強振、走者一掃となる中越えの3点三塁打でTDKを突き放し「次の1点が欲しいところで、すごく大きかった」と松薗監督も高評価した貴重な一打だった。 6回にも右翼線突破の二塁打、先頭打者だった8回は、本塁打ならサイクルヒット達成だったが「え、そうだったんですか? 全然分からなかったです」。136キロのフォークに体勢が崩れながらも、バットのヘッドをうまく返しての中前打で出塁。この園田の一打が皮切りとなって満塁の好機をつくり、3番・井手隼斗内野手(30)がダメ押しともいえる右前へ2点タイムリー。「上位打線にすごいいいバッターが多いので、足は僕自身、アピールポイントかなと思っているので、その足を思い切り使えるよう、とにかく塁に出たいという思いで、9番というポジションを意識してやっています」という園田自身の狙い通りの試合運びとなり、2012年の創部以来、初となる日本選手権でのベスト8進出。監督就任1年目の松薗監督も「うまくいき過ぎですね」と笑った。 北海道・駒大苫小牧高で04、05年に夏の甲子園連覇を果たした名将・香田誉士史氏(現駒大監督)の後任として、今季から指揮を執る松薗監督は、3年前の都市対抗で現役を退いたのだが、その時の最後の相手がTDKで、4―5で惜敗している。「公式戦のこういう舞台でやり返したいなという思いがあったので、それでしっかり勝てて、よかったなと思います」と立場を変えてのリベンジも果たしての初のベスト8だった。 6日の準々決勝では日本選手権で過去6度V、昨夏の都市対抗も制した強豪・トヨタ自動車(東海・愛知)との対戦が待っている。1回戦で完封継投を見せた高椋俊平(28)と村田健(30)の2枚エースを温存しながら2回戦を突破し、打っても今大会2試合で12得点、23安打と勢いに乗る西部ガス。「チームとしては『日本一になりたい』と、ずっと言ってやってきた。次は強豪トヨタさんですけど、勝てるように、一戦必勝の思いで、みんなやっていると思います。そこの思いに対して、みんなで頑張りたいなと思います」と力強く誓った〝打率10割の9番打者〟園田の存在が、西部ガスの快進撃を間違いなく支えている。
西日本新聞社